総理は「何もしない」という考え方があることに共感します。その総理は中国へ向かう特別機とともに阿蘇山上空で噴火に巻き込まれてしまいます。総理代理は海外への脱出を国民に伝えます。
北海道大雪山系の十勝岳・富良野岳噴火、阿蘇山噴火、雲仙妙見岳・国見岳噴火、桜島噴火など、日本の有名どころの火山が地震とともに次々に噴火します。しかし、今更、日本沈没か、という思いが一番です。日本は地震大国だから、設定にそれほどの無理はなく、すんなりと受け入れられることに異論はありませんが、そこに安っぽいナショナリズムさえ感じてしまいます。ただ、それは、『不都合な真実』というグローバルなテーマを扱った映画をＤＶＤで見た翌日に、この『日本沈没』を見たことが大きいのかもしれません。客観的に見れば、ナショナリズムを感じるような箇所はほとんどありません。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の後、１ヶ月半以上経ってから見直してみました。すると、この映画にあまり現実味がないことと、恋愛も描いて話がそれていること、そして命を捨てて日本を救うという美談になってしまっていることで、「日本沈没」というメインテーマ自体が薄れてしまっていることが残念に思えてしまいました。
実際の東日本大震災では、東北から関東にかけて日本にある北米プレートの東端で発生した大地震とそれに伴う大津波と、さらにそれによって引き起こされた原発からの放射性物質の飛散。さらに余震とは思えないほど大きな余震の連発、製油所の爆発炎上、北米プレートの西端にあたる長野県でも発生する地震と、次から次へと連鎖する災害が現実味を超えて発生しました。この現実の大きさに対しては、被災地で出会い恋愛に発展したエピソードや、命を落として多くの命を救った美談などは、実際にありましたが大きなウェイトを占めるには至らないものとなっていました。映画制作時には、阪神淡路大震災後ではありましたが、それを上回る東日本大震災ほどの災害が実際に発生するということは、想像できなかったのではないでしょうか。
ハイパーレスキュー（消防救助機動部隊）隊員の阿部玲子（柴咲コウ）が座席懸垂降下訓練中に墜落するというシーンがありました。「カラビナ安全環ヨシ！」などというセリフもあります。ロープはクライミング用ではなく、もう少し太く撚ったものでした。ハーネスもロープで作ったようなものでした。エイト環などは使用しておらずカラビナにロープを通しているようでした。ロープ末端は結んでおらず、下にもマットが敷いてありましたが、腕に怪我を負います。
画面に何か舞っているシーンは、『ドラゴンヘッド』に似ているなあ、と思ったら、監督の樋口真嗣は、『ドラゴンヘッド』では視覚効果デザインを担当していました。また、『ガメラ 大怪獣空中決戦』では特撮監督を、『ガメラ２ レギオン襲来』では怪獣デザインと特撮監督を、『ガメラ３ 邪神＜イリス＞覚醒』では特技監督を担当していました。
評価：６５点
【監督】樋口真嗣（ひぐち しんじ）
【原作】小松左京
【脚本】加藤正人（かとう まさと）
『クライマーズ・ハイ』、『機関車先生』などの脚本も担当しています。
【撮影監督】河津太郎（かわづ たろう）
【音楽】岩代太郎（いわしろ たろう）
『蝉しぐれ』などの音楽も担当しています。
【出演】
草なぎ剛（深海調査艇わだつみ乗務員 小野寺俊夫役） （『黄泉がえり』などにも出演しています）、
柴咲コウ（神戸で震災に遭い東京消防庁レスキュー隊員になった阿部玲子役） （『世界の中心で、愛をさけぶ』などにも出演しています）、
豊川悦司（深海調査艇わだつみ乗務員 田所雄介役） （『北の零年』などにも出演しています）、
大地真央（危機管理担当大臣で田所雄介と離婚した鷹森沙織役）、
及川光博（深海調査艇わだつみ乗務員 結城慎司役） （『明日の記憶』などにも出演しています）、
福田麻由子（沼津市でレスキュー隊員に助けられた子供 倉木美咲役） （『ＧＯＥＭＯＮ』などにも出演しています）、
吉田日出子（もんじゃ焼き店の 田野倉珠江役） （『子ぎつねヘレン』などにも出演しています）、
柄本明（えもと あきら）（福原教授役） （『さよなら、クロ』などにも出演しています）、
國村隼（くにむら じゅん）（新総理 野崎亨介役） （『劔岳 点の記』などにも出演しています）、
石坂浩二（特別出演）（山本内閣総理大臣 山本尚之役）、
手塚とおる （『蛇イチゴ』などにも出演しています）、
六平直政（むさか なおまさ）、
大倉孝二（もんじゃ焼き店の客役） （『弟切草』などにも出演しています）、
和久井映見（友情出演）、
長山藍子（友情出演）（小野寺俊夫の母役）、
丹波哲郎（特別出演）（阿部玲子の父役）、
遠藤憲一、
加藤武、
北村和夫、
矢島健一、
石田太郎、
松尾貴史、
ピエール瀧、
佐藤江梨子、
木村多江、
前田愛
【上映時間】２時間１５分
【公開日】2006年7月15日
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