島を訪れて、大楠の脇を通るシーンがあります。その後も、このクスノキが何度か映されます。授業参観のときには、「くすの木とイブン」という島に伝わる古い話をスライドで映しながら進めたりもします。この大きなクスノキは、実際には、香川県の志々島にあるものです。
他にも、海難事故で親が亡くなったりするエピソードが入ったりしますが、全体として、それらのエピソードがうまく融合しているようには見えませんでした。主演の坂口憲二も、セリフのない難しい役かもしれませんが、映画全体として、それがうまく生かされているとは言えないと思いました。原作ありきで、映画としては完成度の低いものになってしまったのかもしれません。テーマは悪くないとは思いますが、出来が今ひとつなのが残念です。
この映画の救いは、その舞台となる瀬戸内海の島と自然の景観が一つと、もう一つは脇を固める俳優陣にあるのかもしれません。海に多くの島があり、低山が立ち並ぶ風景は訪れてみたくなります。俳優陣では、ベテラン、倍賞美津子は別格で、伊武雅刀、大塚寧々は安定した演技と存在感があり、堺正章、千原靖史もまずまずだと思いました。子供たちは、親を亡くした少年が少し目立っていたぐらいで、絵がうまい少女がいたりしていますが、このエピソードもあまり生かされていないように感じました。
夏目雅子と死別し、篠ひろ子と結婚した、原作の伊集院静は瀬戸内海に面した山口県防府市で生まれましたが、野島という小さな島で過ごしたこともあるそうです。
評価：４４点
【監督】廣木隆一（ひろき りゅういち）
『ヴァイブレータ』などの監督でもあります。
【脚本】加藤正人、及川章太郎
【原作】伊集院静
【撮影】鈴木一博
【音楽】国吉良一（くによし りょういち）
『鉄道員 ぽっぽや』などの音楽も担当しています。
【音楽プロデューサー】石川光
【主題歌】林明日香 『ＳＡＮＣＴＵＡＲＹ〜夢の島へ〜』
【出演】
坂口憲二（吉岡誠吾（機関車先生）役）、
堺正章（佐古周一郎役）、
倍賞美津子（女医 阿部よね役）、
大塚寧々（飲み屋の若女将 室井よし江役）、
伊武雅刀（網元 美作重太郎役）、
千原靖史（ちはら せいじ）、
佐藤匡美（さとう まさみ）（周一郎の娘 佐古美重子役）、
徳井優、
笑福亭松之助、
森田直幸、
中山麻生（なかやま ませい）
【上映時間】２時間３分
【公開日】2004年7月31日
【製作】「機関車先生」製作委員会
【制作】ウィザードピクチャーズ
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