でも泣けるだけではなく、教えられることもありました。子供が自分で考え、責任を持って、子ぎつねの母親代わりとなって育てる。犬などの動物を飼ったことのない私にはまぶしいぐらいの経験をしています。
子供の頃、物事についてどこまで深く考えたことがあるでしょうか。いや今でもあまり真剣に頭を悩ませて考えこむことなんてないかもしれません。
舞台は北海道。道端に子ぎつねを見つけて見捨てられず拾う少年の太一（深澤嵐）。母親はカメラマンで海外へ一人で行ってしまいます。その間に、太一は母の恋人（大沢たかお）のところに預けられます。そこの娘（小林涼子）と３人での生活がしばらくの間、続くことになります。子供ときつねだけでなく、人間関係のドラマも取り入れています。
ロケ地は北海道網走市およびその近辺とのこと。きつねもキタキツネのようです。背景に何度か斜里岳が映されます。タンポポのお花畑で太一とヘレンが戯れるシーンは綺麗でした。
キタキツネというと、映画『キタキツネ物語』を思い出しますが、原作者の竹田津実氏は、この映画に、企画・動物監督として参画していたのでした。なお、本映画『子ぎつねヘレン』は、実話を基にして作られたものです。
全体的にあまり明るい映画ではありません。音楽ぐらいもう少し明るくてもよかったのでは、と思いました。ちなみに音楽は、ピアニストでもある西村由紀江です。また、どうやってきつねにあのような演技をさせたのだろう、などと余計なことを考えながら観てしまうのが悲しいところです。実際には、アニマトロニクス、ＣＧ映像も取り混ぜて撮影されたようです。
少年役の深澤嵐は、セリフまわしは未熟なところが感じられるものの、子ぎつねとの絡みは全く違和感がありませんでした。
大沢たかおは、『世界の中心で、愛をさけぶ』や、『解夏』でも好演しています。
娘役の小林涼子は、一番光って見えました。松雪泰子は端役に近い感じですね。警官役の阿部サダヲは、『下妻物語』の印象が強烈でした。
評価：７０点
【監督】河野圭太（こうの けいた）
【脚本】今井雅子
【原作】竹田津実（たけたづ みのる） 『子ぎつねヘレンがのこしたもの』（偕成社刊）
【撮影】浜田毅（はまだ たけし）
【音楽】西村由紀江
【主題歌】レミオロメン 『太陽の下』
【出演】
深澤嵐（ふかさわ あらし）（子ぎつねを拾う少年 大河原太一役）、
大沢たかお（太一の母の恋人で動物診療所院長の矢島幸次役）、
小林涼子（こばやし りょうこ）（幸次の娘 矢島美鈴役）、
松雪泰子（太一の母 大河原律子役）、
藤村俊二（獣医大学の上原教授役）、
田波涼子（たなみ りょうこ）（太一の担任 山口先生役）、
阿部サダヲ（派出所の警官役）、
吉田日出子（森に住む謎の老婆役）、
【配給】松竹
【上映時間】１時間４８分
２００５年作品
【公式サイト】http://www.helen-movie.jp/
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