話は1986年、高校生の頃の朔太郎とそのときの恋人アキ（長澤まさみ）との恋愛と別れが中心となっている。逆に言えば、現在の朔太郎と律子の話は完全に脇に回ってしまっている。この二つの恋愛が対等ならもっと完成された映画になっていたのではないだろうか。それが残念である。
とは言うものの、単純に泣けるいい映画でした。
流れる歌謡曲が1986年当時のものであったり、シーンが現在と過去と２つの設定があったりもして、『Love Letter』と雰囲気は似ていると思いましたが、残念ながら『Love Letter』ほどの完成度は感じませんでした。新鮮さを感じなかったのかもしれません。同じような状況があり感情移入できれば泣けてしょうがないのでしょうが、そうでないと白血病という定番の設定なので、ちょっと退屈になってしまいます。
ちなみに行定監督は1968年生まれだから1986年当時は自らも高校生だったはずです。この年代設定は原作にはないらしいなので、自分に合わせて作ったのでしょう。また、『Love Letter』では助監督をしていました。
驚いたのは現在の朔太郎を演じる大沢たかおと高校生の朔太郎を演じる森山未來の雰囲気が似過ぎていること。
このシンクロがはまっていて作り手側としてはこれで満足してしまったのでしょうか。
好演は長澤まさみと、ＴＶの『必殺仕置人』以来のファンである山崎努でした。長澤まさみは、前年の『ロボコン』で、何となくぎこちない演技に見えたのと比較すると成長した気もします。
原作は、なんと1987年に出版された村上春樹『ノルウェイの森』の239万部を軽く抜いて国内作家の小説単行本部数記録を達成したという。
ロケは愛媛、香川、そしてオーストラリアのアリススプリングスで、特に高校時代を過ごした町は香川県庵治（あじ）町でのロケです。背後に特徴的な山が出てきますが、この山は標高375mの五剣山（ごけんざん）（八栗山（やくりやま））であることがわかりました。
評価：７９点
【監督】行定勲
【原作】片山恭一
【脚本】行定勲、坂元裕二、伊藤ちひろ
【撮影】篠田昇
【音楽】めいなＣｏ．
【主題歌】平井堅『瞳をとじて』
【出演】
長澤まさみ（広瀬アキ役）、
大沢たかお（松本朔太郎役）、
森山未來（高校生の朔太郎役）、
柴咲コウ（藤村律子役）、
山崎努（写真館の重蔵役）、
天海祐希（朔太郎の上司役）、
杉本哲太（アキの父役）、
宮藤官九郎、
津田寛治、
近藤芳正、
木内みどり（朔太郎の母役）、
田中美里（律子の母役）、
ダンディ坂野（英語教師役）、
渡辺美里（ＤＪ役）、
森田芳光（映画監督役）
【製作国】日本
【配給】東宝
【上映時間】２時間１８分
２００４年作品
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