とても丁寧に描かれていて、好感が持てます。想像通りと言えばそれまでですが、映画として十分見応えがありました。
クールに言ってしまえば、乳がん検診啓蒙映画として十分な役割を担っているとも言えます。そして、実際、この映画が受診率向上に役立っているのではないかと思います。でも、決して単なる啓蒙映画ではなく、前述の通り、映画としてちゃんと見ることができます。
ちなみに、映画の前にTBS系列の報道番組でTV放映されたドキュメンタリーがあり、映画もこれをきっかけに製作されたのでしょう。
想像外だったのは、屋久島の話が出てきたこと。長島千恵（榮倉奈々）と赤須太郎（瑛太）が出会い、付き合い始めて、千恵が料理を作り、魚料理を見て、太郎が魚嫌いだと言うシーンから始まり、屋久島の首折れ鯖の話になり、屋久島と言えば縄文杉だという話になります。太郎は縄文杉の大きさを伝えようとします。つまり、縄文杉まで行ったことがあるわけです。
話はそれだけで終わりませんでした。千恵が乳がんだと太郎に告白し、別れ話をした後、千恵が一人で屋久島を訪れます。淀川小屋付近でしょうか。きれいな沢の水が映されていました。千恵がそこを歩いていくシーンもありました。ただ、縄文杉まで歩いたシーンはありませんでした。
海岸でのシーンもありました。千恵が切除した胸を見せるシーンです。栗生（くりお）あたりだと思われます。背景には国割岳（くにわりだけ）も映っていました。
ところが、屋久島の話はこれでおしまいでもありませんでした。ラスト近くで、縄文杉の前で、千恵と太郎が並んで写っている写真が飾られていたのでした。きっと合成写真でしょう。さすがに縄文杉まで実際に行っていれば、そのシーンは使わないわけないでしょうから。
評価：６９点
【監督】廣木隆一（ひろき りゅういち） （『ヴァイブレータ VIBRATOR』なども監督しています）
【脚本】斉藤ひろし （『黄泉がえり』などの脚本も担当しています）
【撮影】斉藤幸一（さいとう こういち）
【音楽】大橋好規（おおはし よしのり）
【主題歌】JUJU 『明日がくるなら』
【出演】
榮倉奈々（えいくら なな）（イベントコンパニオン 長島千恵役）、
瑛太（赤須太郎役） （『銀色のシーズン』などにも出演しています）、
柄本明（えもと あきら）（千恵の父 長島貞士役） （『天城越え』などにも出演しています）、
手塚理美（てづか さとみ）（大塚加代子役） （『茶の味』などにも出演しています）、
安田美沙子（やすだ みさこ）（花子役）、
大杉漣（おおすぎ れん）（太郎の父 赤須敏郎役） （『たそがれ清兵衛』などにも出演しています）、
津田寛治（つだ かんじ）（岡田役） （『日本沈没』などにも出演しています）、
田口トモロヲ（奥野役） （『クライマーズ・ハイ』などにも出演しています）、
上原美佐（うえはら みさ）、
伴杏里（ばん あんり）、
星野美穂（ほしの みほ）、
宮田早苗（みやた さなえ）（太郎の母役） （『おくりびと』などにも出演しています）、
安藤玉恵（あんどう たまえ）、
小原正子（おはら まさこ）、
服部妙子（はっとり たえこ）、
星ようこ
【上映時間】２時間９分
【配給】東宝
【公開日】2009年5月9日
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