テーマとしては、とても興味深いのですが、展開は意外と単調です。いや恩地元は、左遷されるなど、波乱に満ちた人生を送るのですが、それでも、意外性がなく、心揺さぶられるものがなかったのです。腐りきった会社の体制も、想像通りで、新鮮味もありませんでした。想像を超えるような意外性が全くないのです。
労組委員長を２年務めた恩地元（渡辺謙）は、会社からパキスタンのカラチ勤務を命じられます。２年後帰国できると思っていたら、その後は、イランのテヘラン勤務になります。母危篤の連絡を受け、帰国しますが、亡くなった後でした。飾られた花には、以前の労組副委員長だった「行天四郎」（三浦友和）らのものとともに、「国民航空山岳部」の文字もありました。その元副委員長の行天は、サンフランシスコ勤務です。会社寄りの労組を会社ぐるみで組織します。
恩地元は、すじの通らない侘び状を書いたりせず、また矜持のため退社もしない状況が続き、ケニアのナイロビ勤務を命じられます。現地の会社にカレンダーを持って訪問します。１月の写真は富士山です。そこの日本人社員は、「やっぱり日本はいいなあ」なんて言います。
関西紡績（モデルはカネボウ）会長だった国見正之（石坂浩二）が事故後の国民航空新会長として東京に向かう新幹線からも富士山が映ります。その会長も辞任することになりますが、恩地元も、その後再びナイロビ転勤となります。その前に訪れた御巣鷹山では、イワウチワの花が映されていました。
第33回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞しました。
評価：７１点
【監督】若松節朗（わかまつ せつお） （『ホワイトアウト WHITEOUT』の監督でもあります。）
【原作】山崎豊子（やまざき とよこ） 「沈まぬ太陽」（新潮文庫刊）
【脚本】西岡琢也 （『陽はまた昇る』の脚本も担当しています。）
【製作総指揮】角川歴彦（かどかわ つぐひこ）
【撮影】長沼六男（ながぬま むつお） （『たそがれ清兵衛』などの撮影も担当しています。）
【音楽】住友紀人（すみとも のりひと）
【出演】
渡辺謙（国民航空社員で元労組委員長でのちに遺族の世話役となる恩地元役） （『ラスト サムライ』などにも出演しています）、
三浦友和（国民航空で元労組副委員長から常務になる行天四郎役） （『なごり雪』などにも出演しています）、
松雪泰子（スチュワーデス 三井美樹役） （『フラガール』などにも出演しています）、
鈴木京香（恩地元の妻 恩地りつ子役） （『ＵＤＯＮ』などにも出演しています）、
石坂浩二（関西紡績会長から国民航空会長になる国見正之役）、
西村雅彦（国民航空社員から国航商事会長となる 八馬忠次役）、
柴俊夫（国民航空取締役から社長になった堂本信介役）、
香川照之（国民航空社員で労組書記長だった八木和夫役） （『劔岳 点の記』などにも出演しています）、
木村多江（夫を失った遺族 鈴木夏子役）、
柏原崇（恩地元の息子 恩地克己役）） （『Love Letter』などにも出演しています）、
戸田恵梨香（恩地元の娘 恩地純子役）、
宇津井健（遺族 阪口清一郎役）、
加藤剛（かとう ごう）（総理大臣 利根川泰司役） （『砂の器』などにも出演しています）、
小林稔侍（副総理 竹丸鉄二郎役）、
草笛光子（恩地元の母 恩地将江役）、
品川徹（龍崎一清役）、
大杉漣（国民航空監査役となる和光雅継役）、
小野武彦（運輸大臣 道塚一郎役）、
矢島健一（青山竹太郎役）、
清水美沙（小山田修子役）、
鶴田真由（布施晴美役）、
風間トオル（沢泉徹役）、
山田辰夫（古溝安男役）、
神山繁（桧山衛役）、
田中健（井之山啓輔役）、
松下奈緒（事故で死亡するスチュワーデス 樋田恭子役）
【上映時間】３時間２２分
【公開日】2009年10月24日
【製作】角川映画、東宝、ケイダッシュ、新潮社、日本出版販売
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