不倫の末、子供をおろし、その後妊娠できなくなった女が不倫相手の赤ん坊の子供をさらい、逃亡します。育てられた子供はその女を母親として育ちますが、４年後、ついに捕まり、子供は本当の親に引き取られます。しかし、本当の母親よりも育てられた女に母親としての愛情を感じます。でも、本当の親の手前、その感情を抑え、本当の母親の子供であろうと思います。しかし、それは自分をだますこと。最後にはそれに気づきます。
鳥の話だったか、最初に見たものを親と思う、というのを映画かテレビで見た記憶がありますが、まさにそれだと思いました。そういう意味ではこの映画に新鮮味は感じませんでしたし、結論が容易に想像でき、その通りのものでした。
他人の子供だから優しく接することができるのに対し、逆に本当の子供だと優しくできないというのがあるのかもしれません。本当の母親がいかにも嫌な親になってしまっているのもあり、結末が簡単に想像できてしまったのかもしれません。もう少し微妙な作りだった方が良かったかもしれません。
それでも誘拐犯、野々宮希和子を演じた永作博美の演技には相変わらず魅せられます。しかし、あまりに想像通りだったためか、ここで終わるの？ という気持ちが大きくありました。原作本は読んでいませんが、原作を読んだらどうなんだろうと思ってしまいました。
「八日目の蝉」とは、七日で死ぬと言われている蝉の八日目という意味。自分だけ取り残されてかわいそうと見るか、ふつうは見たり体験したりできないことができる、ととるか、そんな会話が映画の中でありました。
見つかりそうになり、共同生活を送っていた施設を逃げ出し、子供を連れて小豆島を訪れます。子供はそこで初めて外の世界を知ります。寒霞渓などを訪れます。ロープウェイも映されたりして、ちょっと観光気分が味わえる部分です。寒霞渓の山頂部にある鷹取展望台のシーンもありました。中山千枚田などを含め、島の生活や自然も描かれていました。
2011年日本アカデミー賞作品賞、主演女優賞（井上真央）、助演女優賞（永作博美、小池栄子）、監督賞、脚本賞、音楽賞、撮影賞、照明賞、録音賞、編集賞、新人俳優賞（渡邉このみ）と受賞しています。
そんなに総なめするほどの作品でしょうか？ 主演は井上真央というより永作博美だと思いましたし、小池栄子の演技は相変わらず大根だと思ったのですが。ちなみに、報知映画賞、キネマ旬報ベスト・テン、ブルーリボン賞などでは、主演女優賞として永作博美が受賞しています。
評価：７１点
【監督】成島出（なるしま いずる） （『クライマーズ・ハイ』などの脚本を担当しています）
【脚本】奥寺佐渡子（おくでら さとこ） （『魔界転生』などの脚本も担当しています）
【原作】角田光代（かくた みつよ）
【撮影】藤澤順一（ふじさわ じゅんいち） （『バトル・ロワイアルII【鎮魂歌】レクイエム』などの撮影も担当しています）
【音楽】安川午朗（やすかわ ごろう） （『魔界転生』などの音楽も担当しています）
【主題歌】中島美嘉（なかしま みか） 『Dear』
【出演】
永作博美（ながさく ひろみ）（子供を誘拐する野々宮希和子役） （『人のセックスを笑うな Don't Laugh at my romance.』などにも出演しています）、
井上真央（いのうえ まお）（誘拐された秋山恵理菜＝薫役） （NHK大河ドラマ『花燃ゆ』にも出演しています）、
小池栄子（こいけ えいこ）（安藤千草役） （『下妻物語』などにも出演しています）、
渡邉このみ（誘拐された秋山恵理菜＝薫（少女時代）役）、
森口瑤子（もりぐち ようこ）（恵理菜の実母 秋山恵津子役）、
田中哲司（たなか てつし）（希和子の不倫相手で恵理菜の実父 秋山丈博役） （『突入せよ！「あさま山荘」事件 THE CHOICE OF HERCULES』などにも出演しています）、
市川実和子（いちかわ みわこ）（沢田久美（エステル）役） （『昭和歌謡大全集』などにも出演しています）、
余貴美子（よ きみこ）（施設の代表 エンゼル役） （『十五才 学校IV』などにも出演しています）、
平田満（ひらた みつる）（エステルの父 沢田雄三役） （『ホワイトアウト WHITEOUT』などにも出演しています）、
風吹ジュン（エステルの母 沢田昌江役） （『ガメラ 大怪獣空中決戦』などにも出演しています）、
劇団ひとり（恵理菜の不倫相手 岸田孝史役）、
田中泯（たなか みん）（写真館主役） （『たそがれ清兵衛』などにも出演しています）、
吉本菜穂子（よしもと なほこ）（仁川康枝役）、
相築あきこ（あいつき あきこ）、
安藤玉恵（あんどう たまえ）、
井上肇（いのうえ はじめ）、
宮田早苗、
徳井優、
広澤草、
野中隆光、
管勇毅、
吉田羊（よしだ よう）
【上映時間】２時間２７分
【配給】松竹
【公開日】2011年4月29日
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