寅さんは山口から九州の長崎へ行きます。長崎港からの景色は、『解夏』でも映された、大久保山や城山です。今は、「ながさき女神大橋（ヴィーナスウィング）」が架かりますが、1971年公開のこの映画では当然ながらまだありません。橋の開通は2005年とのことです。
長崎港で出会った子連れの女性（宮本信子）と長崎港から五島列島の福江島へ渡ります。福江港の背後にも低い山が連なっています。さらに小船で福江島南西部の玉之浦へ、女性が３年ぶりに父（森繁久弥）が住む実家へ帰るのに付き添うことになります。
寅さんは、女性が父と再会したのを見届け、故郷が恋しくなり、柴又へ帰ります。そこには、遠縁の女性（若尾文子）がいました。寅さんは彼女に一目ぼれ。しかし、女性は夫（垂水悟郎）の元へ帰っていき、寅さんは失恋します。
五島列島のシーンは最初と最後だけ。ストーリーはほとんど柴又で進みます。しかも、五島列島の話と柴又での話はほとんどつながりはありません。スジとしてはちょっと手抜きな感じを受けてしまいました。
柴又の近所には、「江戸川ラインハイキングコース」なんて道標が道端にあったりしました。
失恋して、また旅に出た先は、正月の浜名湖。猪鼻湖との境にある瀬戸橋のシーンや、瀬戸の鳥居の近くで露天商をしているシーンがありました。背後に映っている山並みは弓張山地の雨生山・金山あたりでしょうか。
静岡県の県道310号線に架かる瀬戸橋
猪鼻湖神社付近で露天商をしていた辺り
猪鼻湖神社のある獅子岩（猪鼻巌）と橋
評価：５２点
【監督・原作】山田洋次
【脚本】山田洋次、宮崎晃
【撮影】高羽哲夫
【音楽】山本直純
【主題歌】「男はつらいよ」（クラウンレコード） 作詞：星野哲郎、作曲：山本直純、唄：渥美清
【出演】
渥美清（車寅次郎役） （『砂の器』などにも出演しています）、
若尾文子（わかお あやこ）（小説家の妻 明石夕子役）、
倍賞千恵子（寅次郎の妹 さくら役） （『隠し剣 鬼の爪』などにも出演しています）、
宮本信子（五島列島玉之浦出身の絹代役）、
前田吟（さくらの夫 諏訪博役） （『十五才 学校IV』などにも出演しています）、
太宰久雄（梅太郎役）、
松村達雄（山下医師役）、
森繁久彌（絹代の父 千造役） （『もののけ姫』などでは声の出演をしています）、
森川信（もりかわ しん）（車竜造役）、
三崎千恵子（つね役）、
笠智衆（御前様役） （『夢』などにも出演しています）、
佐藤蛾次郎（源公役） （『伊賀忍法帖』などにも出演しています）、
垂水悟郎（たるみ ごろう）（夕子の夫役）
【上映時間】１時間３０分
【公開日】1971年1月15日
【協力】柴又神明会、五島観光連盟、福江市、玉之浦町
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