そこの庭で、草間に見かけたのが、小人。ローリエの葉と、赤紫蘇の葉と花穂を持っている姿でした。小人はアリエッティという名の少女。両親と３人でその家の床下で人間の道具をうまく利用して暮らしています。
夜、人間が寝静まった頃、角砂糖やティッシュペーパーを拝借しに床下の住まいからアリエッティと父が抜け出て行きます。糸をザイルにし、釣り針をスカイフックにして移動します。壁に打った釘を伝って歩く姿は、私自身、沢に打ってある杭を伝って沢登りをした姿にダブりました。クライミングの要素いっぱい盛り込んでのお出かけです。
ところが、少年にまた見られてしまいます。ティッシュペーパーはあきらめ、事前に調達した角砂糖も落としてしまいます。持ち帰れたのは、アリエッティが見つけたマチ針のみ。
人間に見られたら小人はもうその家に住めなくなります。引越しを考えなくてはなりません。ところが、角砂糖が床下から外に出る出入り口に置かれました。優しい少年が「わすれもの」と書いて置いていったのです。
しかし、小人はそれをもらうわけにはいきません。さらに少年は部屋をプレゼントします。しかし、それを家の人に見つかってしまいます。
人間の少年と小人の少女との温かい交流。１時間３４分と上映時間は短いです。原作のある小話と言えるでしょう。雰囲気はいいです。でも、やはり小品と言えるでしょう。
自然の描き方は、さすが、スタジオジブリと言えます。床下のコオロギ、ツタの絡む屋敷。キヅタも這っているようです。キヅタの気根までリアルに丁寧に描かれています。ツユクサなどの花も豊富です。
そして、クライミングになぞらえたシーンもふんだんにあります。壁をフリークライミングしたり、ピアスのフックをアイスクライミングのダブルアックスに見立ててカーテンを登ったりと。
小人が住みづらくなって、絶滅危惧種になっている設定は、環境問題をダイレクトに差し入れている感じでちょっと違和感をもってしまいますが、これもスタジオジブリっぽいと言えるかもしれません。
評価：７２点
【監督】米林宏昌（よねばやし ひろあき） （『もののけ姫』などの動画も担当しています）
【企画】宮崎駿（みやざき はやお） （『風立ちぬ』などの監督もしています）
【プロデューサー】鈴木敏夫（すずき としお） （『ハウルの動く城』などのプロデューサーもしています）
【原作】メアリー・ノートン 『床下の小人たち』（岩波少年文庫刊）
【脚本】宮崎駿、丹羽圭子
【音楽】セシル・コルベル
【主題歌】セシル・コルベル 『Arrietty's Song』
【声の出演】
志田未来（しだ みらい）（小人 アリエッティ役） （『風立ちぬ』にも声の出演をしています）、
神木隆之介（かみき りゅうのすけ）（心臓を患う翔役） （『ハウルの動く城』などにも声の出演をしています）、
大竹しのぶ（アリエッティの母 ホミリー役） （『鉄道員 ぽっぽや』などにも出演しています）、
三浦友和（アリエッティの父 ポッド役） （『なごり雪』などにも出演しています）、
竹下景子（屋敷の主人 貞子役）、
藤原竜也（弓を持つ小人 スピラー役） （『カイジ 人生逆転ゲーム』などにも出演しています）、
樹木希林（きき きりん）（家政婦 ハル役） （『下妻物語』などにも出演しています）、
羽鳥慎一（はとり しんいち）、
吉野正弘
【上映時間】１時間３４分
【公開日】2010年7月17日
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