豊川コロナシネマワールドでの公開は、2012年1月28日から2月10日までとなっています。あまり話題になっておらず、映画のストーリー自体にはそれほど期待していませんでしたが、映画館に行く時間が確保できたので、見ることができました。
1月29日、日曜日は奥三河の川売奥の少しだけ凍った与右衛門の滝を見て、その後は林道をさらに車で上がろうとしましたが、崖崩れで行けず、その先にある滝を見るのはあきらめました。引き返し、鳳来寺山パークウェイを通り湯谷に抜けて、コセリバオウレンを見て、長篠城跡にも寄り、帰宅して、夕食をとってから、20:20からの上映に合わせて出かけました。
じつは改装された豊川コロナシネマワールドで映画を見るのは初めてです。一度、『アバター』だったかを見ようとしたことはありましたが、チケット売場のあまりの盛況ぶりにあきらめて帰ってしまったのでした。その後は、ワーナー・マイカル・シネマズ豊川で何度か映画を見ていました。ところが、『恋谷橋』は、コロナでしか上映していないのでした。以前はマイカルではほとんど見ず、コロナでばかり見ていたのですが、改装してからは、ちょっと遠い存在になってしまい、マイカルに鞍替えしたような感じになっていました。そこで、今回、コロナが『恋谷橋』を上映してくれたので、今後はコロナも利用する機会が増えるかもしれません。もっとも、上映作品次第かもしれませんが。コロナはパチンコなどの歓楽的要素の強い施設が併設されていますが、マイカルには食品売場が併設されているのです。個人的には食品売場が併設されていた方が利用価値が高いのです。
20時頃、コロナに到着します。建物と同じ敷地にある駐車場は、この時間でもほぼ満車で、道路を隔てた側にある駐車場にとめました。パチンコ屋の中を通り抜け、エレベーターで２階に上がり、チケット売場でチケットを購入します。さすがに日曜夜のこの時間は混雑はしていません。それでも私の前に２人がチケットを購入していました。この回の『恋谷橋』は指定席のようで（いつも？）、席を選びます。全て同じ色になっているということは他に誰もいないのでしょうか。シネマ６のスクリーンはそれほど大きくはないようです。Ｅ列６番を選びました。20時以降はレイトショーなので1,000円です。クレジットカードで支払いました。
まだ清掃中とのことで、しばらくはチラシを見たりしていました。その中に、『日本列島 いきものたちの物語』というのがありました。ヒグマ、キタキツネ、ニホンザル、アザラシなどの生態を描いているようです。あまり目新しい感じはしませんが、ちょっと興味はあります。『恋谷橋』のチラシを見ている女性もいましたが、今回は他の映画を見るようです。『カリーナの林檎』というチェルノブイリ関連の映画もありました。日本映画です。チェルノブイリの映画は他にも『ナージャの村』などの日本映画を見ましたので、少なくともこれを映画館で見ようとは思いませんが、『日本列島 いきものたちの物語』は、暇があれば、見てもいいかな、と思いました。
放送があり、中に入れるようになります。シネマ６の中は案の定、誰もいません。でも、後からもう一人の男性が入ってきて、後ろの方の席に座りました。観客は私を含め２人です。
さて、映画の内容ですが、東京のデザイン事務所で仕事をしていた島田朋子（上原多香子）が、仕事を首になり、それを隠して三朝温泉の老舗旅館に帰郷します。そこには、旅館で板前をしている男（松方弘樹）と、ずっとその旅館で板前修業している息子の圭太（水上剣星）がいます。そこに、朋子の姉の美穂子（中澤裕子）も大阪から帰ってきます。夫の浮気が原因です。
三朝温泉の老舗旅館でも客足がまばらになり、銀行からの融資も受けられません。長女の美穂子は若女将として跡を継ぐと言っていますが、そのうち夫の元へ帰ってしまいます。朋子もデザイナーの夢をあきらめきれません。そして、圭太は朋子への想いがありますが、控えめです。近くでイチゴ（章姫）農家をやっている男は朋子に振られてしまいます。病院に勤める女は、圭太に恋心がありますが、片思いです。
三朝温泉に活気を取り戻そうと、朋子は三朝温泉でＬＥＤと因州和紙を使ってイベントを企画します。しかし、一過性のものに役所は予算を出せません。それでもあきらめず実行します。客足は成功というほどではありませんでした。雨も途中から降ってきました。圭太は農家の男と喧嘩をして首になります。そして三朝温泉を離れて板前修行へ行くことになります。そんな感じで映画は終わりです。
第１回スーパーシナリオグランプリで大賞をとったという作品なのですが、全然感動するようなことはありませんでした。どうしてでしょうか。ミスキャストなのでしょうか。初恋の続きのような恋愛を大人が演じているのに無理があるのでしょうか。主演の上原多香子は撮影時、２７歳程度でしょう。水上剣星も２６歳ほどです。ロケは2010年11月20日から始まったようです。ちなみに、大賞をとった原作は、『雨の中の初恋 First Love in the Rain』という題名でした。
後藤幸一監督は、『正午なり』の監督でもあります。以前に見たことがありますが、退屈でした。その監督なので、最初から期待していなかったのですが、その通りになってしまいました。
ターゲットは若い男性なのでしょうか。上原多香子映画初主演というのも売りの１つのようです。上原多香子ファンを狙っているのでしょうか。でも、そうだとしたら、ちょっと時期が遅いですよね。
終わり方もちょっと物足りない感じです。朋子がどう選択するかは少し描かれていて、そうした理由（デザイナーという夢に対して、自分の中でどう処理したか）もなんとなく想像できます。でも、それすらあまり観客に考えさせず、淡々と終わってしまいます。
映画は大したことありませんでしたが、三朝温泉は十分に楽しめました。ほぼ三朝温泉が舞台なのです。三朝温泉が映画の「さびれた温泉街」に該当するかどうかはわかりませんが、温泉街の狭い路地が歓楽街になっている雰囲気はいかにもさびれたような雰囲気でした。
私が入った無料の河原風呂も出てきます。上原多香子と水上剣星はその足湯の方だけに入っていましたが、その子役らが私の入った湯舟に入っていました。上原多香子がその湯舟の周りを歩くシーンはありました。上原多香子と中澤裕子の入浴シーンは旅館の内湯でした。すっぴんに近い顔だったように見えました。
三朝温泉は、1163年開湯という歴史ある温泉で、「旅館 大橋」も、国有形文化財指定旅館とのことです。ここの総料理長は平成18年に黄綬褒章を受章したとのことです。
三朝温泉の近くにある三徳山も重要なアイテムとして登場します。三徳山は標高899.6mの山ですが、その中腹にある投入堂が有名です。そこへ朋子が登るシーンもありました。
恋谷橋という題名はどこから来ているのかと思ったら、三朝の近くに、恋谷という集落がありました。ということは、恋谷橋という名前の橋も実在するのでしょうか。どうやら恋谷集落から下ったところにある三徳川に架かる橋が恋谷橋のようです。"La Vallee de l'amour" というフランス語の名もついているようで、これはフランス大使によって命名されたとのこと。監督の後藤幸一は、名古屋大学文学部仏文学科卒業とのことで、この名を題名にも用いたのかもしれません。私は露天風呂に入った後、温泉街の路地を歩き、この恋谷橋のたもとまで行き、橋は渡らずに三徳川沿いを歩いたのでした。
倉吉のロケもあったようですが、どこがそのシーンかはわかりませんでした。鳥取砂丘のシーンも少しありました。
寂れてきた三朝温泉に活気を取り戻そうとイベントを企画したりしていますが、この映画自体がその役目を果たそうとしているようにも思えました。
三徳川に架かる恋谷橋を一つ下流の三朝橋から見る（2011年8月2日撮影）
右下の人がいるところが上原多香子と水上剣星が浸かった足湯（2011年8月2日撮影）
評価：４９点
【監督】後藤幸一
【脚本】井上正子、後藤幸一
【原作】宮尾卓志 「雨の中の初恋」より
【撮影】田中一成（たなか かずしげ）
【音楽監督】加藤武雄
【主題歌】「君、しなやかであれ」 作詞・歌：小椋佳、作曲：伊東恵理
【出演】
上原多香子（老舗旅館「大橋」の次女 島田朋子役）、
水上剣星（みかみ けんせい）（板前の息子役）、
松方弘樹（板前役）、
松田美由紀（朋子の母 祥子役）、
小倉一郎（朋子の父 和夫役）、
中澤裕子（朋子の姉役）、
吉行和子（祖母役） （『折り梅』などにも出演しています）、
石橋蓮司（因州和紙職人役） （『劔岳 点の記』などにも出演しています）、
土屋アンナ（母役） （『下妻物語』などにも出演しています）、
川岡大次郎 （『ＵＤＯＮ』などにも出演しています）、
岩佐真悠子（いわさ まゆこ）、
藤川のぞみ、
高野八誠（たかの はっせい）
【上映時間】１時間５２分
【初公開日】2011年11月12日（2011年6月4日先行上映）
【製作】パル企画、毎日広告社、ポニーキャニオン、プロダクション十二
【助成】文化芸術振興費補助金
【配給】パル企画
【制作協力】NPOみささ温泉、鳥取県、三朝町、鳥取県中部ふるさと広域連合
【公式サイト】http://www.koitani.co.jp/
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