ところが、学校でのいじめ、そして末期癌。闘病ものか、家族愛を描いているのか、といろいろな要素が出てきました。さらに、ロードムービーにも。まるでヒット狙いのネタ満載？？？みたいな感じも受けましたが、メインで描かれているのは、複雑な人間関係と家族愛、でしょうか。
まあ、これも定番と言えるかもしれませんが、何と言っても宮沢りえの熱演で、この映画の出来がかなり高くなっていると思えます。『紙の月』でも好演した宮沢りえがここでも見られた、という感じでしょうか。
宮沢りえは、2016年日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いています。また、杉咲花は、最優秀助演女優賞と新人俳優賞にも輝いています。なお、作品賞にもノミネートされましたが、受賞は、『シン・ゴジラ』でした。キネマ旬報の2016年度主演女優賞も宮沢りえが受賞し、助演女優賞も杉咲花が受賞しています。なお、作品としては、『この世界の片隅に』がトップでした。
一方、オダギリジョーは、らしいといえばらしい演技ですが、期待するほどのらしさは感じられなかったのは残念でした。あくまで宮沢りえの引き立て役に徹した、とも言えるかもしれませんが。
銭湯の壁には、やはり富士山の絵が描かれており、それだけでなく、実際に富士山の見える場所へ行き、子供達がいつも見慣れている壁の絵の富士ではなく、実際の富士山を見て感動しているのがおもしろいですし、狙ってるな、と思えます。そんな小ネタがちりばめられてもいるのです。ラストの煙突からの赤い煙（ネタバレになるので解説は省略します）はやりすぎかもしれないと思いましたが。
実際に映された富士山は、晴天の富士ではなく、曇天の富士だったが、こだわりがなく、低予算で作ってしまったのかな、と思ってしまいましたが。
評価：７１点
【監督・脚本】中野量太（なかの りょうた）
【撮影】池内義浩（いけうち よしひろ）
【音楽】渡邊崇（わたなべ たかし）
【主題歌】きのこ帝国 『愛のゆくえ』
【出演】
宮沢りえ（末期癌の幸野双葉役） （『たそがれ清兵衛』などにも出演しています）、
杉咲花（すぎさき はな）（女子中学生 幸野安澄役）、
オダギリジョー（幸野一浩役） （『ゆれる』などにも出演しています）、
伊東蒼（いとう あおい）（一浩が愛人から押し付けられた子供 片瀬鮎子役）、
松坂桃李（まつざか とおり）（ヒッチハイクをしている向井拓海役） （『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』などにも出演しています）、
篠原ゆき子（安澄の実母 酒巻君江役）、
駿河太郎（子連れの探偵 滝本役）、
松原菜野花（宮田留美役）、
りりィ（向田都子役）、
遥（滝本真由役）
【上映時間】２時間５分
【初公開日】2016年10月29日
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