男同士の親子愛や兄弟愛が描かれています。銭湯が舞台でいくつかの人間模様も描かれています。最初は、中国にも銭湯があることを知らず、それ自体も新鮮でした（※）。父の温かな人柄ががそのまま銭湯の雰囲気になっているところに魅力が感じられます。
私自身、小学生の頃の一時期、銭湯通いをしていました。最初に通っていた銭湯はとても広く（子供だったから特に広く思えたのでしょう）、いい雰囲気でした。しかし、しばらくして潰れてしまいました。次に通ったのは、商店街にある小さな銭湯ですが、場所柄、いつも混雑していた記憶があります。もう一つ、記憶にあるのは、たまに入っていた町内にあった銭湯で、中学生の頃、１０円インベーダーゲームが１台置いてあり、風呂にも入らず、ゲームばかりやっていました。こんな感じでいわゆる昔ながらの銭湯にはそれなりになつかしさがあります。今では大きな温泉施設などにたまに行く程度で、昔のようなタイル貼りのシンプルな銭湯はかなり少なくなっていますね。
銭湯がらみの挿話として、中盤、綺麗な雪山の絵葉書が登場します。弟が父からもらったもので、その葉書には二人の人が写っていて、「この人達は お風呂に入るため、遠くの湖まで旅をした」という話です。マニ車を手に持って回しているチベット人の女性と孫娘が写っています。葉書の写真だけでなく、この光景は動画にもなります。
（※）中国の銭湯は、２００３年に公開された『北京ヴァイオリン』でも、宿泊付きの施設としてちらっと登場していました。
評価：５２点
【監督】張揚 チャン・ヤン
【製作】ピーター・ローアー
【脚本】リュウ・フェントウ、チャン・ヤン、フォ・シン、ティアオ・イーナン、ツァイ・シャンチュン
【撮影】チャン・ジェン
【出演】
朱旭 チュウ・シュイ（父 劉 リュウ役）、
プー・ツンシン（長男 大明 ターミン役）、
姜武 ジャン・ウー（知的障害の次男 阿明 アミン役）
【製作国】中国
【上映時間】１時間３２分
【原題】洗澡 SHOWER
１９９９年作品
【公式サイト】http://www.sonypictures.com/classics/shower/
