ザ・マジックアワー

 現実と映画の中の世界が混在している状況をうまく具現化しています。計算され尽くした脚本で(ただし途中まで)、笑いも涙もあるよくできたコメディです。ただ、崩壊気味のラストとスケールが小さいのは否めません。三谷幸喜作品の特徴なのだろうとは思いますが。

 マジックアワーとは、太陽が沈んでから暗闇になるまでの時間。撮影には最高の時間なのだそうです。山で宿泊するときにもたまにその時間と光景に会うことがあります。ただ、その機会はあまりありません。だいたい、天気が悪くなり、ガスがかかることが多いからです。逆に朝、太陽が昇るまでの時間はガスもないことが多く、ご来光をどこかの山頂で待ちながら、日の出前の時間を堪能する機会は多いと思います。暗い中、ヘッドランプをつけながら山道を登り、寒い山頂でじっとしてご来光を待つ時間は山でしか味わえません。山では、この日の出前の時間こそがマジックアワーと呼ぶにふさわしいのかもしれません。

 ロケは福岡県北九州市門司で行われました。和布刈(めかり)公園の展望台からは門司港とともに、三角山(194m)やその背後の風師山(風頭)(362.2m)と思われる山並みも映っていました。

評価:78点

【監督・脚本】三谷幸喜
【製作】亀山千広、島谷能成
【撮影】山本英夫 『蛇イチゴ』『フラガール』などの撮影も担当しています。
【音楽】荻野清子
【美術】種田陽平 『冷静と情熱のあいだ』『キル・ビル』などの美術も担当しています。
【出演】
 佐藤浩市(三流役者 村田大樹役)、
 妻夫木聡(天塩商会の手下でクラブ「赤い靴」のだます男 備後(びんご)登役)、
 深津絵里(ボスの愛人 高千穂マリ役)、
 西田敏行(天塩商会のボス 天塩幸之助役)、
 小日向文世(村田大樹のパートナー 長谷川謙十郎役)、
 綾瀬はるか(クラブ「赤い靴」の尽くす女 鹿間夏子役)、
 寺島進(天塩商会の黒川裕美役)、
 戸田恵子(ホテルのマダム蘭子役)、
 伊吹吾郎(クラブ「赤い靴」の動じない男 鹿間隆役)、
 香川照之(のし上がる男 江洞潤役)、
 浅野和之(清水医師・デラ富樫役)、
 市村萬次郎(天塩商会の会計係 菅原虎真役)、
 柳澤愼一(CM撮影隊のエキストラ 年老いた高瀬允(まこと)役)、
 唐沢寿明(映画「実録・無法地帯」ゆべし役)、
 甲本雅裕(天塩商会の手下 太田垣直角役)、
 市川亀治郎(時代劇俳優 カメ役)、
 市川崑(映画「黒い101人の女」監督役)、
 中井貴一(映画「黒い101人の女」主演スター 磐田とおる役)、
 香取慎吾(ストリートミュージシャン役)、
 近藤芳正(CM撮影隊のディレクター 今野貴之介役)、
 榎木兵衛(映画スタッフ 弾着の名人 なべさん役)、
 梶原善(映画スタッフ ベテラン特機部 西さん役)、
 阿南健治(映画スタッフ スモーク係 野島役)、
 堀部圭亮(映画「暗黒街の用心棒」でニコを追いつめるギャング バンビ役)、
 山本耕史(映画「黒い101人の女」助監督役)、
 鈴木京香(映画「暗黒街の用心棒」ヒロイン 小夜子役)、
 谷原章介(映画「暗黒街の用心棒」主人公ニコ役を演じる高瀬允役)、
 寺脇康文(映画「暗黒街の用心棒」の革命家 ワンチャイ・バンダラビカル役)、
 天海祐希(映画「黒い101人の女」主演 喪服の女役)、
 小野武彦(警察署長役)

【上映時間】2時間16分
【英題】The Magic Hour
【初公開日】2008年6月7日
【製作】フジテレビ、東宝
【公式サイト】http://www.magic-hour.jp/index.html

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