冷静と情熱のあいだ

 別れた恋人同士がそれぞれ別々の恋人とつき合うが、完全には離れられず、かといって元の恋人同士にはなかなか戻れない。そんな感じで話は進行していく。
 イタリアと日本を舞台にし、イタリア語は出てくるし、香港も絡み、英語もあり、出演者も国際色豊かで、音楽はエンヤで、豪華でありながら物語の完成度も高い。

 原作者が二人なのは、一つの恋愛を女の側、男の側から見ているのであり、原作本も女性側の「Rosso」(赤)と男性側「Blu」(青)の二冊があるのだ。

 山のシーンはフィレンツェの郊外に広がる低山が見える程度。題名の「冷静と情熱のあいだ」というネーミングがいい。もちろん恋愛に対してのことであるが、無粋ながらこれを山に当てはめてみる。

 一つは山に向かう姿勢として、冷静に考えれば山のような危険なところに出かけるのはよそう、という気持ちがあり、でも、山への情熱にはかなわずまた出かけてしまう、ということがあります。
 また、山の中では、例えば危険を目の前にして、登りたい情熱と登ったら落ちるかもしれない、という冷静な判断が葛藤している。そんな場面はよくあることかもしれない。時間に対しても同様に考えられるかもしれない。そろそろ引き返そうか、もう少しがんばるかと。でも時間に関しては私はそれほど葛藤はない。ある程度余裕を見て、それを判断基準にしているからかもしれない。多少無理をしたつもりでも明るいうちに下山できたりするのです。
 題名でこんな発想ができるということは、それだけいい題名だということかもしれない。でも、一見インパクトに欠けているのは残念。

評価:79点

【監督】中江功(なかえ いさむ)
 『シュガー&スパイス 風味絶佳』の監督でもあります。
【脚本】水橋文美江(みずはし ふみえ)
 『シュガー&スパイス 風味絶佳』の脚本も担当しています。
【原作】江國香織、辻仁成(角川書店)
【撮影】津田豊滋
【音楽】ENYA エンヤ
 『スウィート・ノベンバー』でもエンヤの歌が使われていました。
【美術】種田陽平
 『スワロウテイル』などの美術を担当し、後に『キル・ビル』の美術監督もしています。
【出演】
 竹野内豊(阿形順正役)、
 陳慧琳 Kelly Chan ケリー・チャン(あおい役)、
 ユースケ・サンタマリア(崇役)、
 篠原涼子(芽美役)、
 Michael Wong マイケル・ウォン(実業家マーヴ役)、
 椎名桔平(高梨役)、
 柏木広樹(チェロ弾き)、
 塩見三省、
 大和田伸也、
 松村達雄
【製作】フジテレビジョン・角川書店・東宝
【配給】東宝
【上映時間】2時間4分
2001年作品
【公式サイト】http://www.excite.co.jp/event/jyonetsu/

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 冷静と情熱のあいだ―Rosso(文庫本) 冷静と情熱のあいだ―Blu(文庫本)
 冷静と情熱のあいだ―Rosso(単行本) 冷静と情熱のあいだ―Blu(単行本)

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