狩猟を祖父に教えてもらったヴァシリー・ザイツェフ（ジュード・ロウ）が、1942年秋にヴォルガ川西岸にあるスターリングラードの前線に送り込まれます。第二次世界大戦で勢力を拡大していたナチスドイツは石油資源確保のため、ソ連へも進出してきます。スターリングラードは現在のヴォルゴグラードです。スターリングラード(STALINGRAD)とは、直訳すれば、「スターリンの町」です。"grad" が「町」で、「レーニンの町」といえば、レニングラード（現在のサンクトペテルブルグ）となります。
ヴァシリーは、銃も手渡されずに戦場に送り込まれます。銃を持っているものが死んだらそれを手にしろ、と。銃撃戦で命拾いし、すぐ近くに敵兵がいるとき、新聞を積んだ車が銃撃され、運転していたダニロフ（ジョセフ・ファインズ）が、敵を撃とうとしますが、うまくいかず、近くにいたヴァシリーに任せます。ヴァシリーは、正確に数名の敵の頭を狙撃します。
ダニロフは彼の活躍を記事にして、ソ連軍の士気を鼓舞しようと進言し、実行します。ヴァシリーは英雄になります。本人も悪い気はしません。しかし、その活躍を耳にしたドイツ軍も、狙撃手を送り込みます。ケーニッヒ少佐（エド・ハリス）は、ヴァシリーを狙います。そして何度か対戦しますが、決着はつきません。ヴァシリーはケーニッヒの腕の良さに勝てる気はしません。狙撃手としての経験の差は明白です。女性兵士（レイチェル・ワイズ）に恋もしてしまいました。しかし、ヴァシリーは、ウラル山脈での狩猟で養われた勘の良さと冷静さでは、ケーニッヒに決して負けていません。互角の戦いです。
狩猟というと、登山愛好家などからは嫌われる存在かもしれません。私も、藪を歩いているときなど、ハンターに誤射されるのが恐いことがあります。でも、自分の食べるものは、本来、自分で殺すのが礼儀だという気持ちもあります。登山家、服部文祥は「サバイバル登山家」として、狩猟をして山に入ったりしますが、その気持ちはわかるような気がします。なかなか実践できるものではありませんが。また、日本では狼が絶滅した現在、ハンターの減少により、熊や鹿が増え、里まで下りてくるようになっているという話もあります。
監督は、『セブン・イヤーズ・イン・チベット』などのジャン＝ジャック・アノーです。私は『セブン・イヤーズ・イン・チベット』と同じぐらい楽しめる映画だと思いました。
キャストも豪華で、『コールド マウンテン』などに出演しているジュード・ロウ、『目撃』で刑事役だったエド・ハリス、『キリング・ミー・ソフトリー』で登山家役をしたジョセフ・ファインズらです。
私はこの映画を2010年11月14日のテレビ放映「メ〜テレシネマ｣の録画で見ましたが、サーシャ少年の声は、『名探偵コナン』の江戸川コナンなどの声を担当した高山みなみでした。
評価：７４点
【監督】Jean-Jacques Annaud ジャン＝ジャック・アノー
【脚本】Jean-Jacques Annaud ジャン＝ジャック・アノー、
Alain Godard アラン・ゴダール
【原作】William Craig ウィリアム・クレイグ
【撮影】Robert Fraisse ロベール・フレース
【音楽】James Horner ジェームズ・ホーナー
【出演】
James Horner ジュード・ロウ（ソ連軍の狙撃兵 ヴァシリー・ザイツェフ役）、
Rachel Weisz レイチェル・ワイズ（女性兵士ターニャ役）、
Ed Harris エド・ハリス（ナチス軍の狙撃兵 ケーニッヒ少佐役）、
Joseph Fiennes ジョセフ・ファインズ（記事を書くソ連軍将校 ダニロフ役）、
Gabriel Marshall-Thomson ガブリエル・マーシャル＝トムソン（サーシャ少年役）、
Bob Hoskins ボブ・ホスキンス（フルシチョフ役）、
Ron Perlman ロン・パールマン（ケーニッヒの手の内を知るという歯のないソ連軍兵士 クリコフ役）、
Eva Mattes エヴァ・マッテス（フィリポフ役）、
Matthias Habich マティアス・ハービッヒ（ナチス軍 パウルス将軍役）、
Robert Stadlober ロバート・スタッドローバー
【上映時間】２時間１２分
【製作年】2000年
【原題】ENEMY AT THE GATES
【製作国】アメリカ、ドイツ、イギリス、アイルランド
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