映画に出てきた戦争のシーンは1864年のピーターズバーグの「クレーターの戦い」。奴隷制の廃止を宣言した合衆国北部でエイブラハム・リンカーンが大統領となり、これに反対した南部の１１州が合衆国から脱退を表明。1861年南軍の砲撃により戦争が始まった。「クレーターの戦い」は北軍勝利となる戦争終結の前年。南軍を包囲し、南軍の要塞の地下までトンネルを掘り地雷を爆発させた。直径約400mのクレーターができたという。
この話は実話に基づいている。主人公インマンは、ノースカロライナ州のブルーリッジ山脈で育った原作者チャールズ・フレイジャーの大々叔父本人である。
なかなかいい出来である。奇抜さはないが、戦争と愛がしっかりと描かれている。ジュード・ロウ、ニコール・キッドマンもさすがの演技である。レニー・ゼルウィガーはこの映画でアカデミー賞助演女優賞を受賞しているだけあって熱演ではある。が、ちょっと浮いているようにも見えてしまった。ナタリー・ポートマンは、後の『ブラック・スワン』で、オスカー主演女優賞を受賞しました。
監督は『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラ。なので、退屈な映画ではないかと心配していたが、大丈夫だった。
最初と最後にコールドマウンテンを象徴する山が出てくる。これが均整のとれた美しい三角形の山である。この山だけでなく、脱走兵として山の中を歩く、その自然の豊富さには驚く。沢の水を飲むシーンなど、自然のただ中という感じで、このあたりの山に行ってみたいと思ってしまう。アメリカにもこんな豊富な自然があるのだな、と思ったが、ロケはルーマニアのトランシルバニアとのこと。ただ、やはり針葉樹が多かったり、種類の豊富さではやはり日本の方が上かな、とも感じましたが。当初、ブルーリッジ山脈やカナダでのロケを考えたらしいが、1860年代のノースカロライナの雰囲気がないということで、断念したようである。アメリカ国内ではサウスカロライナとヴァージニアのロケはあったようで、ボタニーベイの湿地ではヴィージーとの旅のシーンなどが撮影されたという。
評価：７７点
【監督・脚本】Anthony Minghella アンソニー・ミンゲラ
【原作】Charles Frazier チャールズ・フレイジャー
【撮影】John Seale ジョン・シール
【音楽】Gabriel Yared ガブリエル・ヤーレ
【出演】
Jude Law ジュード・ロウ（Inman 南軍兵士インマン役）、
Nicole Kidman ニコール・キッドマン（Ada 令嬢エイダ・モンロー役）、
Renee Zellweger レニー・ゼルウィガー（Ruby ルビー・シューズ役）、
Philip Seymour Hoffman フィリップ・シーモア・ホフマン（Veasey インマンと逃避を共にするヴィージー牧師役）、
Donald Sutherland ドナルド・サザーランド（Rev.Monroe エイダの父モンロー牧師役）、
Natalie Portman ナタリー・ポートマン（Sara 南軍兵士の未亡人セーラ役）、
Giovanni Ribisi ジョヴァンニ・リビシ（Junior 農夫ジュニア役）、
Ray Winstone レイ・ウィンストン（Teague 義勇軍リーダーのティーグ役）、
Brendan Gleeson ブレンダン・グリーソン（Stobrod ルビーの父スタブロッド役）、
Kathy Baker キャシー・ベイカー（Sally エイダの隣人サリー・スワンガー役）、
Charlie Hunnam チャーリー・ハナム（義勇軍のボジー役）、
James Gammon ジェームズ・ギャモン（サリーの夫エスコー・スワンガー役）、
Eileen Atkins アイリーン・アトキンス（Maddy ヤギ飼いの老婆マディ役）、
Jena Malone ジェナ・マローン（渡し舟の女役）、
Ethan Suplee イーサン・サプリー（スタブロッドの演奏仲間パングル役）、
Jack White ジャック・ホワイト（Georgia スタブロッドの演奏仲間でルビーの恋人ジョージア役）、
Lucas Black ルーカス・ブラック（南軍兵士オークリー役）、
Melora Walters メローラ・ウォルターズ（リーラ役）、
Taryn Manning タリン・マニング（シェイラ役）
【製作国】イギリス・イタリア・ルーマニア
【原題】COLD MOUNTAIN
【上映時間】２時間３５分
２００３年作品
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