飛行機からスカイダイビングし、パラグライダーで雪山の斜面に着地し、スノボで山岳滑降。他にもバイクシーンなど、本物のスタントを存分に見せてもらえます。
クライミングシーンも少しありますが、『M:i-2』のトム・クルーズの下手なフリークライミングと違い、いいムーブをしていました。
ストーリーは単純といえば単純ですが、映像の迫力が一番の狙いなのだからどうでもいいでしょう。でもその割にはしっかりしています。多くのスパイ映画のようにエリートではなく、「一般市民」のスタント好き野郎がスパイに抜擢されるという設定がいい。当然ながら賢い人物とは言えない。でも観察眼を始めとしてスパイの才能は十分兼ね備えている。
そのザンダー・ケイジ役のヴィン・ディーゼルがはまっていました。私の中で彼の株は高騰。
人によってはヨーロッパで一番美しい町と言われるチェコ共和国のプラハが破壊されそうになる、という設定。
行ったことがある人ならば、さらに入り込めるのかもしれません（私は行ったことありませんが）。
プラハが舞台になっているアメリカ映画は、『９デイズ』など、このところ、かなり増えているのではないでしょうか。
007のようなエリートのスパイではなく、エクストリーム好きの民間人から登用される、という設定も好感が持てます。ちょっと間抜けなところがあるのも、親近感を持てます。登用するのは、アメリカ合衆国NSA（国家安全保障局）秘密情報部です。バージニア州Mt.Weatherの山の中腹にあります。
エージェントが次々とアナーキー99に殺され、有能な民間人の登用を決めたのでした。ザンダー・ケイジ（ヴィン・ディーゼル）は、カリフォルニア州サクラメントで上院議員のシボレー・コルベットを盗んで橋からのダイブに使い、それを録画して楽しんでいます。その後、NSAに拉致されます。第１テストは、喫茶店。ウェイトレスは、007シリーズのM（ジュディ・デンチ）を思わせます。
第２テストもパスし、ルフトハンザ航空でプラハへ。さすが、NSAが使う飛行機は違う、といったところでしょうか。アントン・カラスの『第三の男』も挿入音楽として使用されています。なのか意味があるのでしょうか。
しかしどうして００７を意識した作りにする必要があるのでしょうか。秘密兵器が登場したり、最後はボラボラ島での余暇のシーン。
少し前に観た『リターナー』も他の映画を意識していましたが、単なるスタッフの趣味なのでしょうか。マイナス要因にしかならないと思うからやめてほしいものです。
終盤に登場する潜水艇のシーンで、ザンダーのスタント役ハリー・オコナーが死亡する事故が発生したそうです。潜水艇から飛び降りる予定であったのが、潜水艇とともに橋桁に激突して即死したとのこと。衝突する直前までの映像はそのまま使用されたそうです。
音楽のノリがいいのは、同じ頃観た『凶気の桜』もそうですが効果抜群。カメラワークもいい。雪崩を発生させるシーンとそれに続くスノボでの滑降も見せ場と言えるでしょうが、残念ながらいかにも「合成」なので、ちょっとさめてしまいましたが。
アメリカ国家安全保障局員アウグスト・ギボンズを演じたサミュエル・Ｌ・ジャクソンは相変わらずハイクオリティな演技でした。アーシア・アルジェントは、ヘレナ・ボナム・カーターを思わせますが、後半は「普通の女」になっていました。
お気に入りの映画となったので、テレビ放映も録画してみました。2013年12月28日（土）にメ〜テレシネマでAM2:20から放映されたものです。ただ、見たのは2017年11月18日（土）。CM含めて1時間55分の放映ですので、ある程度短縮されているようですが、気になりませんでした。
続編の『トリプルＸ ネクスト・レベル』にザンダー・ケイジ（ヴィン・ディーゼル）は出演していません。新たなトリプルＸは、ダリアス・ストーン（アイス・キューブ）。ルックスはヴィン・ディーゼルに負けていると思います。それに舞台はアメリカ国内のみでスケールダウンしているように思います。雪山も雪崩も出てきません。それでも、迫力は負けていません。クライマックスの高速列車のシーンは、現実をはるかに超えたＣＧで、非現実的ですらありますが、それでもここまでやってもらえると快感です。ところがこの続編、日本では劇場未公開だったのですね。ＤＶＤで観ましたが、映画館だったら、どんな迫力だったか、体験してみたいと思いました。どうやら、この２作目は興行的に失敗していたようです。そんな経緯があり、３作目の制作は一旦はなくなったみたいですが、主演をヴィン・ディーゼルに戻して2017年にアメリカで公開されるとか。
評価：９２点
【監督】Rob Cohen ロブ・コーエン
【脚本】Rich Wilkes リッチ・ウィルクス
【製作】Neal H. Moritz ニール・Ｈ・モリッツ
【撮影】Dean Semler ディーン・セムラー
『ブルース・オールマイティ』などの撮影も担当しています。
【音楽】Randy Edelman ランディ・エデルマン
『シャンハイ・ヌーン』などの音楽も担当しています。
【スタント・コーディネーター】ランス・ギルバート、ジェームズ・アーネット
【歌】
Eve イヴ、
Orbital オービタル、
ＤＭＸ、
カシーム・ディーン、
ジェイ＝Ｚ、
ギャヴィン・マグレガー・ロスデイル
【出演】
Vin Diesel ヴィン・ディーゼル（ザンダー・ケイジ役） （『ピッチブラック』などにも出演しています）、
Samuel L. Jackson サミュエル・Ｌ・ジャクソン（アメリカ国家安全保障局員オーガスタス・ギボンズ役） （『閉ざされた森』などにも出演しています）、
Asia Argento アーシア・アルジェント（アナーキー99にいるエレーナ役）、
Marton Csokas マートン・チョーカシュ（アナーキー99リーダー ヨーギ役） （『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』などにも出演しています）、
Richy Muller リッキー・ミューラー（チェコの秘密警察 ミラン・ソーヴァ役）、
Michael Roof マイケル・ルーフ（スパイ道具スペシャリストのNSAエージェント トビー・リー・シェイヴァース役） （『ブラックホーク ダウン』などにも出演しています）、
Eve イヴ（工作員の選抜テストでコロンビアに送り込まれた一人 Ｊ．Ｊ．役）、
Danny Trejo ダニー・トレホ（コロンビアの麻薬組織のボス エル・フェヘ役）、
Tom Everett トム・エヴェレット（コルベットを盗まれるディック・ホチキンス上院議員役）、
Thomas Ian Griffith トーマス・イアン・グリフィス（冒頭で殺害されるNSA工作員 ジム・マクグラス役）、
Werner Daehn ヴェルナー・ダーエン（アナーキー99のスナイパー 愛煙家のキリル役）、
Petr Jakl ペトル・ヤクル（アナーキー99メンバーでヨーギの実弟 コルヤ役）、
ジャン・フィリベンスキー（アナーキー99メンバーでヨーギの友人 ビクトール役）、
Leila Arcieri レイラ・アルシーリ（ジョーダン・キング役）、
メアリー=パット・グリーン（工作員の選抜テストでのウェイトレス役）、
アリーナ・チカリコヴァ（ザンダーが泊まった部屋にいた妖艶なダンサー役）
【上映時間】２時間３分
【製作国】アメリカ・チェコ
【原題】XXX
2002年作品
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