前作と比べればいろいろと繋がってきて、すっきりしたため、脚本的には多少まともになっていると思いましたが、それでもまだ無理があるように思う。原作をじっくり読んでから観れば面白いのかもしれないが、映画は、理解する、しないに関わらず先へ先へと進んでいってしまうものである。いくら映像にお金をかけていても、ストーリーがわかりにくければ意味がない。もっとも映像が良ければいい映画というものもあるが、これはそうではないはずである。しかもすぐには理解しにくい設定なのに、その説明はあっさりで、どんどん進んでいく。ところがその展開がなぜか退屈なのである。
指輪を火山「滅びの山」に捨てに行くという筋書きであるため、その行程でいろいろとある。岩を登り、テラスで一晩眠るシーン、マグマを下に見る火口でのシーン、まわりに溶岩が流れるシーン。巨大な蜘蛛に襲われるシーンや鷲に助けられるシーンでは、蜘蛛の動きや鷲の飛翔中の羽根がリアルに映し出されている。話はもう１つ、同時に戦争が展開される。援軍を求めるのろしが雪山の頂上に灯され、それが次々と点火されていくシーンも素晴らしい。このように断片的な映像としてはハイレベルなものがいくつもあるのは確か。
結局、ストーリーとしては戦争に勝って平和を手に入れる、という面がある。こういう単純なものの見方をされると引いてしまう。ひょっとしたらこれがこの物語をつまらないものにしているのかもしれない。
評価：５５点
【監督】Peter Jackson ピーター・ジャクソン
【原作】J.R.R. Tolkien J.R.R.トールキン
【脚本】Peter Jackson ピーター・ジャクソン、Fran Walsh フラン・ウォルシュ、Philippa Boyens フィリッパ・ボウエン
【撮影】Andrew Lesnie アンドリュー・レスニー
【音楽】Howard Shore ハワード・ショア
【出演】
Elijah Wood イライジャ・ウッド（ホビット族のフロド・バギンズ Frodo役）、
Ian McKellen イアン・マッケラン（魔法使いのガンダルフ役）、
Viggo Mortensen ヴィゴ・モーテンセン（人間のアルゴラン役）、
Sean Astin ショーン・アスティン（ホビット族のサム役）、
Liv Tyler リヴ・タイラー（エルロンドの娘アルウェン役）、
Orlando Bloom オーランド・ブルーム（エルフ王国の王子レゴラス役）、
Cate Blanchett ケイト・ブランシェット（エルフ族の最長老ガラドリエル役）、
John Rhys-Davies ジョン・リス=デイヴィス（ドワーフ族のギムリ役）、
Billy Boyd ビリー・ボイド（ホビット族のピピン役）、
Dominic Monaghan ドミニク・モナハン（ホビット族のメリー役）、
Ian Holm イアン・ホルム（ビルボ・バギンズ役）、
Bernard Hill バーナード・ヒル（ローハンの国王セオデン役）、
Christopher Lee クリストファー・リー、
Hugo Weaving ヒューゴ・ウィービング（エルフ族の長エルロンド役）、
Miranda Otto ミランダ・オットー（ローハンの姫エオウィン役）、
David Wenham デヴィッド・ウェンハム（デネソールの次男ファラミア役）、
Brad Dourif ブラッド・ドゥーリフ、
Karl Urban カール・アーバン（セオデン王の甥エオメル役）、
Andy Serkis アンディ・サーキス（GOLLUM ゴラム役）、
John Noble ジョン・ノブル（ゴンドール国の執政デネソール役）、
ショーン・ビーン（デネソールの長男ボロミア役）
【上映時間】３時間２３分
【原題】THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING
2003年／アメリカ映画
【製作】ニューライン・シネマ
http://www.lotr.jp/