軍隊の連携とか、生き残ることを観ていると、山行にも似ていると思うのである。元々私がワンダーフォーゲル部出身ということもあるのだろうが、山行パーティは軍隊のようなものである。
大体、山の用語は軍隊に真似ているものが多い。当時（ＷＶ時代）既に死語になりかけていたので、はっきり覚えていないが、「武器」と言えばスプーンやフォークなどのことを言うし（1985年に買ったアルミ製のスプーンは現役）、「テッポウ」といえば、確かスコップ（立って使う大きさのもの）を指した。何に使っていたかというと、家型テントのまわりに雨水が流れるように溝を掘るのである。今のように屋根と床が一体のものではなく、グランドシートは別であった。溝が不完全だと容赦なく雨水がテントの中に入り込んできた。テントは「設営」、「撤収」といった。歌は軍歌調のものが多かった。
ワンゲルとは関係ないが、そういえばナイフはアーミー（陸軍）ナイフを使用している。
縦長のザックをアタックザック、略して「アタック」（攻撃）と言っていた。もっともこれは一般的なもので、
「山を征服する」と言ったりもしますね。
また、リーダーは絶対的なものであり、命令には従わなければならない。リーダーの判断で決行か中止かが決まり、ときには生死が決まることもある。もちろん、責任はリーダーが負うことになる。パーティの行動は、メンバーの体調や怪我にも左右され、メンバーで助け合いながら無事下山をしなければならない。ただ、社会人山岳会の多くは軍隊的な部分はほとんどなくなり、趣味のサークルと化していると思われる。しかし、登山は生死のかかったものであることに変わりない。なのに、他のスポーツ同好会と同じような趣味のサークルでいいのだろうか、と思うことがよくある。
映画自体には山は出てこないが、この映画のように純粋に戦場を描いていると、つい山のことを考えてしまうのである。もちろん登山は自然が相手であり、戦争のように人が相手ではないので、全く違うのですが。
『ブラックホーク ダウン』に似た映画に、『ハート･ロッカー』があります。もっとも、『ブラックホーク ダウン』の約９年後になりますが。『ハート･ロッカー』はイラクが舞台です。爆発物処理班を描いています。意味のない戦いの地で、敵でない敵との戦い。仕事としての爆発物処理。それを淡々と描いています。悪く言えば、『ブラックホーク ダウン』の焼き直しに近いという印象です。やはり、『ブラックホーク ダウン』に軍配が上がります。『ハート･ロッカー』は、2009年アカデミー賞の作品賞などを受賞していますが、アメリカの賞だから仕方がないのかもしれません。私なら、作品賞に、『アバター』の方を選ぶでしょう。
評価：７０点
【監督】Ridley Scott リドリー・スコット
『グラディエーター』の監督でもあります。この映画の冒頭のローマ帝国時代の戦争シーンは、『プライベート・ライアン』の冒頭を彷彿とさせる迫力がありました。
『ハンニバル』も監督しましたが、どちらかというと、戦争映画向きなのでしょうか。
【製作】
Jerry Bruckheimer ジェリー・ブラッカイマー
他に『パイレーツ・オブ・カリビアン』、『アルマゲドン』、『フラッシュダンス』、『トップガン』などがあります。
Ridley Scott リドリー・スコット
【原作】Mark Bowden マーク・ボウデン
【脚本】Ken Nolan ケン・ノーラン、Steven Zaillian スティーヴン・ザイリアン
【撮影】Slavomir Idziak スラヴォミール・イジャック
【音楽】Lisa Gerrard リサ・ジェラード、Hans Zimmer ハンス・ジマー
【出演】
ジョシュ・ハートネット Josh Hartnett（Matt Eversmann役）、
ユアン・マクレガー Ewan McGregor（Danny Grimes役） 他に『スター・ウォーズ』に出演、
トム・サイズモア Tom Sizemore、
サム・シェパード Sam Shepard、
エリック・バナ Eric Bana、
ジェイソン・アイザックス Jason Isaacs、
ジョニー・ストロング Johnny Strong、
ブレンダン・セクストン三世 Brendan Sexton III、
オーランド・ブルーム Orlando Bloom この映画にも出ていたんですね
【製作国】アメリカ
【原題】BLACK HAWK DOWN
【上映時間】２時間２５分
２００１年作品
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