イギリス出身の監督が撮った映画とは思えないほど、日本と日本人が繊細に描かれているのに驚きました。監督のジョン・ウィリアムズは１９６２年生まれで、１９８９年に来日しました。伊丹十三監督の『たんぽぽ』を見たりして日本に興味を持ったそうで、日本に来てからは、小津安二郎監督の映画が好きになり、この『いちばん美しい夏』も小津安二郎映画を手本にしたとのことです。なるほど、と納得しました。
ロケはほとんど三河で、立ち寄ったことのある喫茶「トキ」、鳳来湖、四谷千枚田など、山間風景がふんだんに映っています。小出家は池場付近の家が使われたそうです。田峰あたりからと思われる豊川の夕景もありました（参考：笹頭山）。豊川海軍工廠の話も。名古屋でのロケシーンもいくつかありました。
主演の真帆は、1979年生まれで名古屋市出身。1000人を超すオーディションで選ばれたそうです。
名古屋で育ち、豊川市で生活し、奥三河の山によく出かけている私は、たとえ、ロケ地に行っていない場所でも、とても馴染み深い雰囲気を感じることができました。それは、名古屋の家並みだったり、路地の作り方などです。また、奥三河の雰囲気も、その植生などから感じることができました。
奥三河をテーマにしたものでは、前田真三写真集『奥三河』を連想することもできました。大自然というよりは、生活との関わりのある杉などが生える里山が描かれているところが共通点と言えるでしょう。
奥三河でロケが行われた映画は、他に、折り梅があります。
英題の、"Firefly Dreams" は、直訳すると、「蛍の夢」です。
評価：７３点
【監督・脚本・編集】John Williams ジョン・ウィリアムズ
【製作】John Williams ジョン・ウィリアムズ、金田和明、Martin Rycroft マーティン・ライクロフト
【撮影】早野嘉伸（はやの よしのぶ）
【音楽】Paul Rowe ポール・ロウ
【出演】
真帆（まほ）（直美役）、
南美江（みなみ よしえ）（小出ばあさん役）、
丹羽努（にわ つとむ）（酒屋の勝役）、
木全悦子（きまた えつこ）（直美のいとこ 由美役）、
斧篤（おの あつし）（直美の父役）、
宮島千栄（みやじま ちえ）（直美の母役）、
山川定保（やまかわ さだやす）（由美の父役）、
金本京子（かなもと きょうこ）（由美の母役）、
七原春夫（ななはら はるお）（由美の祖父役）、
佐藤絢子（智子役）、
壁谷俊介（勇二役）、
原智彦（旅館の客役（特別出演））
【上映時間】１時間４５分
【英題】Firefly Dreams
【初公開日】２００１年８月１８日
【製作・配給】百米映画社
【公式サイト】http://www.100meterfilms.com/firefly/jp/index.html
