前半は退屈な場面が多くありましたが、後半のアイガー北壁登攀シーンでは、そのリアリティさに息を呑むばかりでした。アイススクリューをねじ込んで、雪壁をダブルアックスで登って行く。これほどリアルな山岳アクション映画は他に知りません。バーティカル・リミットなどがいかにまやかしであるかがよくわかります。
クリント・イーストウッドのアクションがいかに偉大であったかも、よくわかりました。彼が自分を「ボンド」とジョークで名乗るシーンは、００７と比べてくれ、と自信を持って言っているようにも感じられ、同じく００７を意識している『トリプルＸ』とも比べてしまいますが、『トリプルＸ』が００７から抜けきれていないのに対し、『アイガー・サンクション』は、完全に振り切っていると言っていいでしょう。ただし、それはアクションのリアリティさに関してであり、映画全体として、『トリプルＸ』にかなわないのは、２７年前の映画だから大目に見るとしましょう。
落ちるシーンで人形を使った以外は、全てイーストウッド本人の演技です。そんな本格志向の信念は、歳をとって体が動かなくなっても、「精神」として生きています。それは、『目撃』、『トゥルー・クライム』、『ミリオンダラー・ベイビー』などの映画を観ればわかると思います。
評価：６６点
【監督】Clint Eastwood クリント・イーストウッド
【脚本】
Hal Dresner ハル・ドレスナー、
Warren Murphy ウォーレン・Ｂ・マーフィ、
Rod Whitaker ロッド・ホイッテカー
【原作】Trevanian トレヴェニアン（Rod Whitaker ロッド・ホイッテカー）
【音楽】John Williams ジョン・ウィリアムズ
【出演】
Clint Eastwood クリント・イーストウッド（Dr. Jonathan Hemlock ジョナサン・ヘムロック役）、
George Kennedy ジョージ・ケネディ（登山仲間 Ben Bowman ベン･ボウマン役）、
Vonetta McGee ボネッタ・マギー（CIA職員ジェマイマ役）、
Jack Cassidy ジャック・キャシディ（マイルス役）、
Reiner Schone ライナー･ショーン（ドイツ人登山家フライタグ役）、
Michael Grimm マイケル･グリム（オーストリア人登山家マイヤー役）、
Jean-Pierre Bernard ジャン･ピエール･ベルナール（フランス人登山家モンテーン役）、
Heidi Bruhl ハイディ・ブルール（モンテーン夫人役）、
Thayer David サイヤー・デビッド（CIAドラゴン役）
【原題】THE EIGER SANCTION
【製作国】アメリカ
【上映時間】２時間８分
１９７５年作品
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