絶唱 ぜっしょう 冒頭は薄暗い山あいの風景。その谷間を人力車が死んだ花嫁を乗せて通る。そしてクレジットのバックに山口百恵の主題歌「山鳩の歌」が流れる。「山鳩」とは、山育ちの娘 小雪のことを指しているらしい。途中では、子守唄や「木挽唄」も歌われている。
そして昭和１７年、山陰のある地方、という設定で緑の山々が映し出されて物語が始まります。津山の地名が出てきますので、岡山県の美作（みまさか）の方でしょうか。鳥取砂丘も舞台になっています。砂丘から標高314mの駟馳山（しちやま）が映っているのが見えます。吉岡温泉の名も出てきました。
よくある身分違いの恋を描いた映画です。大地主の息子とその大地主に雇われている山番の娘との恋です。山番とは山の番人のことで、映画では猟銃を持った猟師の格好をしていました。ただ時代背景は戦時中。戦争を背景にした悲恋物語とも言えます。ただ戦争を背景にしたことにより、それに頼って、何となく安易で表面的なものに感じてしまうのが残念です。また全体的に暗い雰囲気も心が沈みます。
山口百恵主演の、1974年版『伊豆の踊子』が、それ以前に同名で映画化されているのと同様に、この『絶唱』も以前に２度、映画化されているようで、最初は、1958年で浅丘ルリ子、小林旭主演。次の1966年版は、1974年版『伊豆の踊子』や本作1975年版『絶唱』と同じく西河克己監督で、主演男優は舟木一夫で、主演女優は冒険家として北極にも行って有名な和泉雅子だったようです。
評価：４９点
【監督・脚本】西河克己
【原作】大江賢次（講談社刊）
【製作】堀威夫、笹井英男
【撮影】萩原憲治
【音楽】高田弘
【主題歌】「山鳩の歌」（ＣＢＳ・ソニーレコード） 作詞：千家和也、作曲：三木たかし、歌：山口百恵
【ナレーター】鈴木瑞穂
【出演】
山口百恵（山番の娘で園田家の奉公人 小雪役）、
三浦友和（大地主山園田の若様 園田順吉役）、
大坂志郎（小雪の父で山番の正造役）、
初井言榮（小雪の母 サト役）、
大和田伸也（小学校教員 大谷賢一役）、
辰巳柳太郎（大地主山園田の旦那様で順吉の父 園田惣兵衛役）、
花沢徳衛（為吉役）、
菅井きん（園田順吉の乳母 セキ役）、
木内みどり（順吉の婚約者で令嬢の美保子役）、
吉田義夫（園田家に奉公する源助役）、
服部妙子（川田マサ役）、
中村伸郎、
川口厚、
藤江善幸、
武岡淳一、
有崎由見子、
木島一郎、
神山勝、
大家博、
浅見小四郎、
山之辺潤一、
雪丘恵介
【製作】ホリ企画制作
【配給】東宝
【上映時間】１時間３６分
１９７５年作品
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