母アニーはそのピルグリムと娘のグレースを連れて、ニューヨークからモンタナのホース・ウィスパラーと呼ばれる男のところへ行く決心をする。モンタナはアメリカ合衆国の北西部、ロッキー山脈のただ中。雪を抱く山々が見えます。北はカナダと国境を接している州です。
モンタナの広大な大自然の中で、心の傷が癒されていくグレースをメインに描いています。馬の心も癒されていきます。一方、母アニーは仕事を失い、トムへの恋心を抱くようになる。そんなサイド･ストーリーも少しあります。
馬は頭が良くないと言います。「馬鹿」と言うぐらいです。学生時代に馬術部の部員もバカだと言っていました。だから、馬が人間の心を理解したように振舞うのはおかしい。この映画ではそんなべったりな描き方はしていません。馬の「調教」というのが妥当なところでしょう。ロバート・レッドフォードはたぶんそんな馬のありのままをよく知っているのでしょう。だから、変に心が通じ合う、というような描き方をしていません。その辺が自然でいいです。逆に全く人間の気持ちを理解しないかというとそういう描き方もしていません。そのあたりのバランスが程よい感じに思われます。そういう馬の姿を知っていれば、この映画もすんなり受け入れられるのではないでしょうか。
しかし、映画自体は長く、やはりちょっと退屈になってしまいます。丁寧に描きたい気持ちはわかるのですが、それでももう少し短くしてほしいと思いました。ロバート・レッドフォード監督・主演というのも、どうも手前味噌な感じで、ちょっと鼻についてしまいますが。
ロバート・レッドフォード監督でブラッド・ピットが出演している『リバー・ランズ・スルー・イット』もモンタナ州が舞台でした。
娘役のスカーレット・ヨハンソンは、その後、『真珠の耳飾りの少女』や『ロスト・イン・トランスレーション』などに出演しています。
評価：５８点
【監督】Robert Redford ロバート・レッドフォード
【脚本】Eric Roth エリック・ロス、Richard LaGravenese リチャード・ラグラヴェネーズ
【原作】Nicholas Evans ニコラス・エヴァンス
【撮影】Robert Richardson ロバート・リチャードソン
【音楽】Thomas Newman トーマス・ニューマン
【出演】
Robert Redford ロバート・レッドフォード（ホース・ウィスパラー Tom Booker トム・ブッカー役）、
Kristin Scott Thomas クリスティン・スコット・トーマス（グレースの母で出版社の編集長 Annie MacLean アニー・マクリーン役）、
Scarlett Johansson スカーレット・ヨハンソン（アニーの娘 Grace MacLean グレース・マクリーン役）、
Sam Neill サム・ニール（アニーの夫 Robert MacLean役）、
Dianne Wiest ダイアン・ウィースト（フランクの妻 Diane Booker役）、
Chris Cooper クリス・クーパー（トムの弟 Frank Booker フランク・ブッカー役）、
Cherry Jones チェリー・ジョーンズ（Liz Hammond役）、
Catherine Bosworth キャサリン・ボスワース（乗馬中に死亡する少女 Judith ジュディス役）
【製作国】アメリカ
【上映時間】２時間４７分
【原題】THE HORSE WHISPERER
１９９８年 TOUCHSTONE PICTURES
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