ロスト・イン・トランスレーション サントリー「響」のＣＭ撮影のために来日した中年ハリウッドスターと、夫の仕事についてきた若妻シャーロットが東京の同じホテルで出会う。お互いに異国での東京の生活を持て余していて気が合う。
そして、どうなるか。これが特にどうにもならない。これが現実的といえば現実的。しかし映画の脚本としてはどうなのかなあ、と微妙なところなのかもしれない。日本が言葉の通じない異国という設定なので、日本人がこの映画を観るとしっくりこない。自分が外国に行ってしばらくそこに滞在することを考えれば、それなりに理解できるのだが、やはり違和感のない日本が違和感のある異国として描かれているのをすんなり受け入れるのは少し難しい。ただ外国人が感じる東京はこんな感じなのだろうな、と思う。そういう意味では今までの外国映画の中で最も日本が等身大で描かれているのだろうとは思いました。
東京が舞台なので、山など出てこないと思っていたら、ゴルフ場のバックに富士山が登場した。控え目ながらやはり日本と富士山はセットかと。ただしこのシーン、ロケではなく、合成のようである。
もう一度は、京都へ向かう途中の新幹線の車窓からの少し雪を被った富士山が映っていました。監督はフランシス・フォード・コッポラの娘、ソフィア・コッポラ。当然、話題性はあり、気負ったところがあまり感じられない。自分の好きなように映画を撮ったという感じもする。そんな落ち着きが映画にも現れていたのかもしれない。これが才能なのかどうかは、この映画だけではまだわからない。
２００３年アカデミー賞脚本賞を受賞している。でもそんなにいい脚本なのでしょうか。確かに着想はいいと思いますが、いい脚本といえるようなものはなかったと思います。変化があまりなく単調気味になってしまっているのです。まあ、アカデミー賞としては他に有力候補がなく、ラッキーだったのかもしれませんが。
また、２００３年英国アカデミー賞では共演の二人が主演男優賞、主演女優賞を受賞しています。
評価：５１点
【監督・脚本】Sofia Coppola ソフィア・コッポラ
【製作】Sofia Coppola ソフィア・コッポラ、Ross Katz ロス・カッツ
【製作総指揮】Francis Ford Coppola フランシス・フォード・コッポラ、Fred Roos フレッド・ルース
【撮影】Lance Acord ランス・アコード
【音楽】Brian Reitzell ブライアン・レイツェル、Kevin Shields ケヴィン・シールズ
【挿入歌】「風をあつめて」 作詞：松本隆、作曲・歌：細野晴臣、演奏：はっぴいえんど
【出演】
Bill Murray ビル・マーレイ（中年ハリウッド俳優 ボブ・ハリス役）、
Scarlett Johansson スカーレット・ヨハンソン（若妻シャーロット役）、
Giovanni Ribisi ジョヴァンニ・リビシ（シャーロットの夫でカメラマンのジョン役）、
Anna Faris アンナ・ファリス（ケリー役）、
藤井隆（ＴＶホスト マシュー南役）、
田所豊（ＣＭディレクター役）、
林文浩（チャーリー役）、
竹下明子（通訳 Ms.Kawasaki役）、
HIROMIX
【製作国】アメリカ・日本
【上映時間】１時間４２分
【原題】Lost in Translation
【配給】東北新社
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