アルピニスト 2023年11月、何かの拍子にamazon primeのお試し期間に入ってしまい、せっかくなので最初に見たのがこれです。「クライミング」で検索してヒットしたのでした。
前知識無しに見始めましたが、ドキュメンタリーで、マーク・アンドレ・ルクレールのソロクライムを扱っています。聞いたことがある名前ですが、勘違いでなければ、きっと、書店の立ち読みか何かのときに雑誌で目にしていたのでしょう。
ソロクライマーにはひかれるものがあります。私はソロクライマーではありませんが、一人で山を歩くのは好きです。ちょっとした崖のようなところを一人で登ったこともあります。一人でアイスクライミングもどきのようなこともしたことがあります。一人というのは何の束縛もなく、自由に行動を決められます。気が向いたままに行き先を変えたり、途中で帰ったり。中には私の我が儘な行動に付き合ってくれる人もいますが、それでも自然との距離が変わってしまいます。複数だとずっと無言で行くということは考えにくく、何らかの会話をしたり、さらに、自分の立てる音以外の人工的な音が入ってしまいます。自然を100%感じるにはやはり一人で山へ行くしかないのです。ジャンルが多少違って、実力も違っても、共感でき、勇気づけられます。
生い立ちの説明の中で、本が好きで、というシーンで映された書棚に『TOUCHING THE VOID』が目に入りました。私が映画館で見た『運命を分けたザイル』です。
それにしても大岩壁のソロクライミングシーンを見ていると落下する想像ばかりをしてしまいます。ただ、自分が登っていることを想像すると、少しは落ち着けたりもします。自分自身も、これぐらいなら大丈夫、という線があります。もちろんその限界は人によって違いますから、わからない部分も大いにあるにはあります。それでも、登山中に少し気を抜いて転んだりもするわけで、絶対に失敗しないという保証はどこにもありません。
で、最後は、二人で山を下山中に亡くなってしまいます。ソロが好きな登山家が二人で登ったときに亡くなる、というパターンは、『孤高の人』の加藤文太郎を思い浮かべました。二人で登ったから、かどうかは、いずれもわかりませんが、なんとなくそれが原因の一つではないか、と思ってしまうのです。
登山スタイルに共感するのですが、最後は結局、死が待っているのか、と思うと複雑です。
それにしても、映像がリアルです。どうやって撮影しているのでしょうか。最近のドキュメンタリーの撮影技術の進歩は素晴らしいと思うばかりです。
評価：７１点
【監督】Peter Mortimer ピーター・モーティマー、Nick Rosen ニック・ローゼン
【撮影】Jonathan Griffith ジョナサン・グリフィス、Austin Siadak オースティン・シアダク、Brett Lowell ブレット・ローウェル
【音楽】Turtle タートル
【出演】
Marc-Andre Leclerc マーク・アンドレ・ルクレール、
Brette Harrington ブレット・ハリントン、
Alex Honnold アレックス・オノルド、
Reinhold Messner ラインホルト・メスナー、
Barry Blanchard バリー・ブランチャード
【上映時間】1時間33分
【原題】THE ALPINIST
【製作国】アメリカ
【初公開日】2022年7月8日