そこでばったり初恋の相手、暖（ヌアン）と会います。彼女は足を引きずって歩いています。また、結婚して娘もいることがわかります。そのあたりの事情が徐々に紐解かれていきます。
しかし、それが特にどうということもなく、なるほど、そんなこともあるかもね、という感じなのです。それを長々と見せられるのは、ちょっと退屈です。共感はできます。でも残念ながらそれで満足はできませんでした。
原作の舞台は、山東省高密県東北郷だそうですが、映画のロケ地は、江西省上饒市務源県なのだそうです。時期は２００２年の秋で、確かにいいロケーションです。中国の田舎の村の雰囲気は感じられます。アヒルや蚕もいかにも中国でしょう。しかし、それほど多くは自然の風景は描かれていません。もっとも主題は人間関係で、「田舎の村」であることが表現されていれば、それで十分なのですから、これでちょうどいいぐらいでしょう。
２００３年東京国際映画祭で、東京グランプリ・都知事賞を受賞。また、聾唖者を演じた香川照之が最優秀男優賞を受賞しています。しかし、賞をとるほどの香川照之の演技だったでしょうか。大きな違和感はありませんでしたが、名演とまでは言えないと思いました。
評価：４９点
【監督】霍建起（フォ・ジェンチイ）
『山の郵便配達』の監督です。
【脚本】秋実 チウ・シー（霍建起の妻です）
【原作】莫言 モー・イェン 《白狗秋千架》（『白い犬とブランコ』）
【撮影】孫明 スン・ミン
【音楽】三宝 サン・バオ
『初恋のきた道』の音楽を担当していた人だと思います。
【出演】
李佳 リー・ジア（暖（ヌアン）役）、
郭小冬 グオ・シャオドン（井河（ジンハー）役）、
香川照之（暖の夫 唖巴（ヤーバ）役）
【製作国】中国
【上映時間】１時間４９分
【原題】暖 Nuan
【製作】北京金海方舟文化発展有限公司
２００３年作品
