宮澤賢治 その愛 宮澤賢治の生涯を手っ取り早く知るにはもってこいの映画でしょう。冒頭にちゃんと、「この物語は史実をもとに創作したものです。」と表示されます。企画協力として、宮澤清六、宮澤和樹の名も挙がっています。
ただ、映画としてはあまりいい出来とは思えませんでした。それほど盛り上がらず、深層までは描かれておらず、当たり障りのない表面的な印象です。
同じ神山征二郎監督で、三上博史が野口英世を演じた『遠き落日』と比べてもかなり見劣りしてしまいます。
強いて言えば、三人の美人女優、酒井美紀、中山忍、牧瀬里穂が見られるのが見どころと言えるかもしれません。脇を固める仲代達矢や八千草薫は、見せ場というほどのものもなく、もったいない使い方だと思ってしまいました。
山はもちろん、岩手山。何度も残雪の山姿が映されます。そして登山シーンもわずかにあります。1913年(大正二年)岩手県立盛岡中学校時代に、松明をかかげて暗いうちから歩き出し、そしてご来光を拝みます。そのシーンで「宮澤賢治 その愛」のタイトルが重なります。
盛岡高等農林学校時代には、校歌を歌うシーンがありますが、その歌い出す前に「名峰岩手富士にむかいて」というセリフが入ります。
評価:46点
【監督】神山征二郎
【製作】奥山和由
【脚本】新藤兼人
【撮影】伊藤嘉宏
【音楽監督】林哲司
【主題歌】「夢追いかけて」 歌:カズン、作詞:カズン・小林和子、作曲:林哲司
【美術】横山豊
【企画協力】宮澤清六、宮澤和樹
【出演】
三上博史(宮澤賢治役)、
八千草薫(賢治の母 宮澤イチ役)、
仲代達矢(賢治の父 宮澤政次郎役)、
酒井美紀(賢治の妹 宮澤トシ役)、
前田吟(石橋キミ子の父 石橋甲助役)、
牧瀬里穂(高瀬露役)、
中山忍(伊藤チエ役)、
尾美としのり(花巻女学校の音楽教師 藤原嘉藤治役)、
尾羽智加子(序盤で宮澤トシとともに賢治を訪ねる 石橋キミ子役)、
山口美也子(石橋トメ役)、
織本順吉(願教寺の島地大等役)、
山本圭(関豊太郎教授役)、
安藤一夫(伊豆大島の伊藤七雄役)、
田中実(賢治の弟 宮澤清六役)、
小林滋央(保阪嘉内役)、
早勢美里(高橋ミネ役)、
中原早苗、
上田耕一
【上映時間】1時間56分
【製作】松竹、三井物産
【ロケーション協力】岩手県、岩手県遠野市、遠野ふるさと村、長野県上田市、東京都大島町、八幡平リゾートスキー場、大井川鉄道株式会社、埼玉県妻沼町聖天山
1996年作品