森林伐採による自然破壊で、狩りで暮らしていくのが難しくなってきました。住まいを奥地へと移動します。カナダのユーコン準州にあるドーソンの町まで出るのに５日間の距離です。そこでログハウスを造ります。丸太と丸太の間に苔を入れたりする作業も見られました。妻のネブラスカも一緒です。
山の中で妻と二人で暮らしている、というとかなりの偏屈のようですが、そうでもありません。たまには町に出たり、狩人の先輩、アレックスに会いに行ったりします。無線も使っています。その気持ちはわかる気がします。自然の中で暮らすのが好きで、でも自然の中では人恋しくもなります。夏は馬に乗り、冬は犬ぞりで移動します。深雪では、犬たちの前を木製のスノーシューで歩きます。
部屋で見ていると、そこがロッキー山中の極寒の地であることを忘れそうです。吹雪のシーンも少しだけありますが、多くは穏やかな日を選んで撮影しているのでしょうか。たまに氷が割れて、水の中に落ちたりして、手が冷たくなっているようなシーンで、そこが−４０℃にもなる場所であることを認識するぐらいなのがちょっと物足らないところではあります。
ナレーションは自然との共生など、ダイレクトに訴えます。悪くいえば説教くさいとも言えます。物語というほどのものはありません。年老いていく自分と悪化していく自然環境。毛皮も値下がりして、暮らしていくための収入も減っていきます。それでも罠猟を続けていくのかどうか。自然の中で猟をしながら暮らしている様子を描いているだけです。でもそんな様子も、なかなか見られるものではありません。それだけで十分ではないでしょうか。それ以上のとってつけたような物語など必要ありません。
ヘラジカ、オオカミ、ウサギ、魚、鳥など、野生動物も多く登場します。映像はかなり美しいです。撮影は、『ミクロコスモス』の撮影も担当している、ティエリー・マシャドです。納得しました。
評価：６８点
【監督・脚本】Nicolas Vanier ニコラス・ヴァニエ
【製作】Jean-Pierre Bailly ジャン＝ピエール・バイリー
【撮影】Thierry Machado ティエリー・マシャド
【音楽】Krishna Levy クリシュナ・レヴィ
【出演】
Norman Winther ノーマン・ウィンター（ノーマン役）、
May Loo メイ・ルー（ネブラスカ役）、
Alex Van Bibber アレックス・ヴァン・ビビエ（猟の先輩役）、
Ken Bolton ケン・ボルトン、
Denny Denison デニー・デニソン
【上映時間】１時間４１分
【製作年】2004年
【製作国】フランス、カナダ、ドイツ、スイス、イタリア
【原題】Le Dernier Trappeur
【英題】The Last Trapper
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