グーグル・アマゾン化する社会

　『ウェブ進化論 −本当の大変化はこれから始まる』を先に読み、本書をその後に読んだためか、ほとんど似たような内容で、あまり新鮮味や読み応えを感じませんでした。ちなみに発行日も本書の方が後発です。そして、書き方も『ウェブ進化論』ほどうまいとは感じませんでした。本書では、グーグルやアマゾンの細かい内容説明にページを割いていたりして、ある意味、役に立つところはあるものの、サイトの解説書でもあるまい、と思ってしまうところもありました。

　そして、『ウェブ進化論』と同じように、アマゾンのロングテール、リコメンデーション・システムの紹介で、『死のクレバス−アンデス氷壁の遭難』（ジョー・シンプソン著）と『空へ−エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか』（ジョン・クラカワー著）の２つの出版物の話が出てきました。そこまで似ていると、ほとんど同じ本を読んでいる気分にもなってしまいます。もっとも、出典が同じなのだろうから、仕方のないことかもしれませんが。

　最後の方では、一極集中による世論の偏りが解説されています。この辺は、『ウェブ進化論』とは違う切り口だと感じました。ただ、結論めいたことはなく、単なる現状分析のようなもので終わってしまっているのがとても残念です。

　本書の方が優れているのは、インパクトのある題名だけかもしれません。抽象的な『ウェブ進化論』よりは、インパクトのある題名だと思います。このセンスが本文にも生かされていれば良かったのですが・・・


目次

第１章　多様化が引き起こす一極集中現象 − 巨大な一極とフラット化した世界
第２章　Web2.0の世界 − 「ユーザー参加型」「膨大なデータベース」
第３章　Amazon − 参加のアーキテクチャー
第４章　Google − 半強制的な参加のアーキテクチャー
第５章　スケールフリー・ネットワーク − 金持ちほどますます金持ちになる理由
第６章　個人への一極集中 − タグとパーソナライゼーション
第７章　「民主主義」によってつくられる“主体性ある思考”


【著者】森 健（もり けん）
【発行所】光文社新書
2006年9月20日初版１刷発行

こちらで購入できます↓
　amazon.co.jp　「グーグル・アマゾン化する社会」
　楽天ブックス　「グーグル・アマゾン化する社会」

Wander!★本