主催は東三河ガイア実行委員会、後援が豊川市教育委員会とのことで、14時開演。すると、挨拶の後、オーストラリアの先住民アボリジニのディジュリドゥ（通称ディジュ）という楽器の生演奏がありました。３０分ほどだったと思いますが、珍しい音楽が聴けて得した気分になりました。（http://www.naturalbeat.net/）
さて、映画は、つくりとしては、あまりメジャー映画という感じではなく、手作りっぽいドキュメンタリー映画で、１９９２年公開後、こうして上映会が開催されるという、そんな映画だとわかります。ただ、東海三県だけでも８４０回以上も上映されているそうです。ＤＶＤは2007年以降に発売されたようですが、この第一番は、エンヤの章及び楽曲が全てカットされているそうです。
この映画、メジャーではない映画とは言うものの、それにしては出演者などが豪華ですし、続編として、２００８年５月現在、第六番まで公開されているのです。すごいパワーというか、ちょっと不思議にも感じます。
映画の構成はオムニバスっぽく、ただ、全体として巨大なトマトの成長を追っていたりもします。まずは、その巨大トマトですが、野澤重雄という植物学者が作り出したハイポニカ農法というもので、土を使わずにどんどん成長させてやれば、巨大なトマトの大木ができ、果実が大量にできるというもの。彼は、『神とは、高度な自然のメカニズムの実体のことである』と語っています。つまり、生態系のバランスそのものが神であり、その生態系のどこが欠けてもいけないと。
そしてラインホルト・メスナーが登場します。8000m峰全14座を登頂した有名な登山家です。酸素が平地の３分の１というエベレストへ無酸素で登頂したりしていますが、人類の限界に挑戦し、生命の不思議さを感じさせてくれます。巨大トマトにしろ、エベレスト無酸素登頂にしろ、形は全く違うものの、生命の限界とは、という共通したテーマを感じ取ることができます。
また、メスナーの『スピリット（霊性）、マインド（知性）、ボディー（肉体）の調和こそ人間本来の姿である』という言葉と、３つのうちの最も弱い部分に支配されるという言葉には、納得させられ、また自身を振り返って反省もさせられました。
次は、アフリカ象の話。象牙の密猟により、親を亡くした子供の象を保護して育てる動物保護活動家のダフニー・シェルドリックという女性が登場します。尤もメインは象で、人間と共通した命の長さや、思考、行動は涙を誘います。人間が象牙を狙って象を殺していることを象は知っていて、撃たれた象の象牙を隠したり、殺された場所を何度もお墓参りのように訪れるという話がありました。
次には、ケルト美術研究家の鶴岡真弓氏とともにエンヤが登場します。自然と密接な関係があったキリスト教が入る前のケルト文化と、その文化を継承しているというエンヤの音楽が語られています。エンヤの音楽もふんだんに使われています。
最後は、アメリカの元宇宙飛行士のラッセル・シュワイカート。彼が宇宙の船外で感じた感覚は、私が登山で感じたものに似ていて、共感できる部分がありました。それは、うまく説明できませんが、自分の小ささというか、生かされているという感覚とか、自分は地球という生命体の一部なのだというようなものでしょうか。もっとも逆に、メスナーの例のように、人間の能力の大きさも感じました。北アルプスを縦走し、ちっぽけな人間がこんな長距離を歩けるんだ、と自分に驚いたこともありました。
映画の序盤は、ちょっとちゃちなイメージもありましたが、観ているうちに共感できる部分が多くなり、第二番以降も観てみたいという気持ちになりました。
評価：６７点
【監督】龍村仁（たつむら じん）
【プロデューサー】 安藤賢次（あんどう けんじ）、竹内美樹男（たけうち みきお）
【撮影】本田茂
【音楽】Enya エンヤ
『冷静と情熱のあいだ』の音楽も担当しています。
【出演】
野澤重雄（のざわ しげお）（植物学者）、
Reinhold Messner ラインホルト・メスナー（登山家）、
Enya エンヤ（ミュージシャン）、
Daphne Sheldrick ダフニー・シェルドリック（動物保護活動家）、
Russel L. Schweickart ラッセル・シュワイカート（元宇宙飛行士）、
鶴岡真弓（ケルト美術研究家）
【声の出演】
木内みどり（ナレーター）、
榎木孝明（ナレーター）、
蟇目良（ラインホルト・メスナー）、
湯川れい子（ダフニー・シェルドリック）、
龍村仁（ラッセル・シュワイカート）
【上映時間】２時間１０分
【企画・製作】株式会社Ｉ＆Ｓ、株式会社ＳＥＤＩＣ
【製作・配給】株式会社オンザロード
【後援】セゾングループ
【協力】西友
１９９２年作品
【公式サイト】http://www.gaiasymphony.com/
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