ラブ・レター　パイランより

　浅田次郎原作の短編小説を映画化したもので、韓国映画です。原作を先に読んでいて、後で映画化されていることを知り、ＤＶＤで観ました。小説自体が短編で、それほど大きな感動が得られたわけでもなく、その映画化ということで、大きな期待はしていませんでした。ところが、映画ではしっかりと感動させてくれました。設定など、原作と違うところはいくつかあります。最も大きな違いは、女性の職業でしょう。原作では確か売春婦か何かだったと思いますが、映画では洗濯屋で働くことになります。ですが、戸籍を貸しただけの見たこともない妻が死亡し、男が感情移入していく、というテーマは全く同じで、とてもよくまとまっていて映画としていい仕上がりになっていたと思います。

　戸籍上の妻だったパイラン（セシリア・チャン）が死亡し、インチョンから列車、バスで彼女のいた場所へ、戸籍上の夫カンジェ（チェ・ミンシク）が向かいます。雪景色があり、バスを降りて、山を見て、「いい景色だろ？」と弟分の相棒に言い、凍った池の上ではしゃいだりするシーンがありました。

　孤児となり、中国から韓国に来たパイランが、「山が美しいです　海も美しいです　会いたいです」と韓国語の勉強をするシーンもありました。

　セシリア・チャンは、常盤貴子をもう少しほっそりさせた感じの美人で、つやもなく薄幸さがよく出ていました。香港出身で、実生活では、両親が離婚し、14歳でオーストラリアに渡り叔母と暮らしていた過去があるのだそうです。ただ、香港に戻ってからは脚光を浴び、歌手としても注目されているようです。

　映画公開時の題名は、『パイラン』だったようです。ＤＶＤでは、『ラブ・レター　パイランより』となったのは、原作を意識したからでしょうか。日本では1998年に中井貴一主演で『ラブ・レター』として映画化されています。

評価：７３点

【監督】ソン・ヘソン
【脚本】ソン・ヘソン、アン・サンフン、キム・ヘゴン
【原作】浅田次郎 『ラブ・レター』（集英社『鉄道員 ぽっぽや』収蔵）
【撮影】キム・ヨンチョル
【音楽】イ・ジェジン
【出演】
　チェ・ミンシク（イ・カンジェ役）、
　セシリア・チャン（張柏芝）（中国人女性 カン・パイラン（康白蘭）役）、
　ソン・ビョンホ（ヨンシク役）、
　コン・ヒョンジン（ギョンス役）
【製作国】韓国
【上映時間】１時間５６分
２００１年作品

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