高知の高校２年生の杜崎拓（飛田展男）が主人公。中高一貫教育で、一度も同じクラスになったことがない松野豊（関俊彦）が親友です。学校の順位がトップでなくなったため中学の修学旅行を中止し、それに異議を唱えたのが二人です。
そこに、東京から家庭の事情で母に連れられて引っ越してきた武藤里伽子（坂本洋子）が編入してきます。勉強もスポーツもできる美人ですが、周りから浮いていて、家庭の事情もあってか明るくありません。
高校２年の修学旅行はハワイです。中止にした中学の修学旅行の埋め合わせのような行き先です。オアフ島北部から南部の地図が映されていました。「ワイアナエ山脈 Waianae Range」や、「Kaala ▲1231m」などのピークも載っていました。南部は「ダイヤモンド・ヘッド」、「ワイキキ・ビーチ」、「パンチボウル」が白抜き文字で載っていました。
高３になり、武藤里伽子にも小浜祐実（荒木香恵）という友達ができます。そして、突然、武藤里伽子が小浜祐実と東京の父の元へ行くといいます。小浜祐実はとまどい、杜崎拓に相談し、結局、杜崎拓が一緒に東京へ付き添うことになります。
卒業し、高知大学へ行ったという武藤里伽子、京都の大学へ行った松野豊、東京の大学へ行った杜崎拓。同窓会に、武藤里伽子は来ませんでしたが・・・
携帯電話もなく、違和感を持ちましたが、1993年の映画なので、当然ですね。当時の時代背景も思い出されました。
高校生の恋愛など、今見たら、何も思わないだろう、子供だましに思うかもしれない、なんて思っていましたが、逆に、忘れかけていた高校生の頃の考え方や行動パターンを思い出し、とても新鮮な気持ちになれました。それだけ、うまく映画が作られているとも言えます。大人が作っても、これだけ高校生の気持ちがしっかり描けていることに感心しました。でも、じつは高校生の頃の気持ちを忘れていて、大人が作った高校生像に共感しただけなのかもしれない、とも思ったりもりました。今となっては、本当の高校生の気持ちなどわからないかもしれない、と思いながら。
８２分と、若干短尺の映画だからか、感動はそれほど大きくなく、小品に近い感じでした。
評価：６８点
【監督】望月智充（もちづき ともみ）
【原作】氷室冴子（徳間書店刊 月刊アニメージュ連載 担当：三ッ木早苗）
【脚本】中村香
【音楽】永田茂
【主題歌】「海になれたら」（徳間ジャパンコミュニケーションズ） 作詞：望月智充、作・編曲：永田茂、歌：坂本洋子
【制作】スタジオジブリ若手制作集団
【声の出演】
飛田展男（とびた のぶお）（杜崎拓役）、
坂本洋子（東京から高知へ引っ越してきた武藤里伽子役）、
関俊彦（杜崎の親友 松野豊役）、
荒木香恵（あらき かえ）（武藤と友だちになる小浜祐実役）、
緑川光（みどりかわ ひかる）（山尾忠志役）、
天野由梨（清水明子役）、
渡部猛（わたべ たけし）（校長役）、
徳丸完（川村役）、
有本欽隆（ありもと きんりゅう）（里伽子の父役）、
金丸淳一（かねまる じゅんいち）（岡田役）、
さとうあい（杜崎拓の母役）、
鈴木れい子（おかみさん役）、
関智一（見習い役）
【放映時間】１時間２２分
【初放映日】1993年5月5日
こちらで購入できます↓
amazon.co.jp「海がきこえる」（書籍、映画DVD、サントラ等）
