その後、最初に向かうのはタラワ島、現在のキリバスにあります。ほぼ赤道直下で、ニュージーランドと硫黄島のほぼ中間にあたります。その後はハワイで、また一時の休息があります。そして硫黄島に向けて出発します。
硫黄島の戦闘で、摺鉢山（すりばちやま）に星条旗が翻ります。しかしその前に、分隊長であるストライカー軍曹（ジョン・ウェイン）は日本軍によって多く掘られた地下坑道からの射撃で撃たれてしまいます。残ったのは息子宛ての手紙でした。
硫黄島の摺鉢山に翻る星条旗の写真は、『硫黄島の星条旗』（"Raising the Flag on Iwo Jima"）として、1945年のピューリッツァー賞（写真部門）を受賞したこともあり有名になりました。映画の原題も、"SANDS OF IWO JIMA"で、"IOU ISLAND"でも、"SULFUR ISLAND"でもないのは、当時からアメリカ軍の間では、"IWO JIMA"と呼ばれていたからのようです。さらにその元は日本海軍が作成した地図のローマ字表記なのだそうです。ちなみに陸軍は、「いおうとう」と呼んでいたそうです。
硫黄島は小笠原諸島の南西に位置する「火山列島」に所属する島です。なぜこんな離島で双方２万人以上の死傷者が出るほどの戦闘が行われたかというと、その地理的位置に重要な意味があったようで、日本本土と南方戦線の中間に位置し、その中継地点として機能していたそうです。アメリカ軍はこの重要な島を攻撃することを決め、日本軍も増員して防衛に努めました。司令部は地下２０ｍの地点にあったといいます。硫黄島陥落後は本土への大空襲が本格化しました。
摺鉢山は、標高161mで硫黄島の最高峰です。ただ島の中央にあるのでなく、南西端にあるようです。その島の端にある盛り上がりとそこから昇るガスから、別名「パイプ山」とも言うそうです。島には他に、「玉名山」(120m)、「大坂山」(110.6m)、「東山」(119.5m)という名のついた小さなピークがあります。
終戦から４年後の1949年製作の映画です。アメリカ海兵隊が映画製作に協力していて、実際の海兵隊員がそのまま映画に参加しているのも頷けます。モノクロ映画ですが、実録フィルムも多用していて、当時の様子がよくわかり、臨場感抜群のいい出来だと言えるでしょう。それに、終戦間もない頃のアメリカ映画にも関わらず、全然戦争賛美映画になっていないのも好感が持てます。これがまたリアリティを高めているのかもしれません。
評価：７０点
【監督】Allan Dwan アラン・ドワン
【製作】Edmund Grainger エドマンド・グレンジャー
【脚本】Harry Brown ハリー・ブラウン、James Edward Grant ジェームズ・エドワード・グラント
【原作】Harry Brown ハリー・ブラウン
【撮影】Reggie Lanning レジー・ラニング
【音楽】Victor Young ヴィクター・ヤング
【出演】
John Wayne ジョン・ウェイン（ライフル分隊長ジョン・ストライカー軍曹 Sgt. John M. Stryker役）、
John Agar ジョン・エイガー（アリスンと結婚するピート・コンウェイ役）、
Forrest Tucker フォレスト・タッカー（弾を取りに行きコーヒーを飲むアル・トーマス一等兵役）、
Adele Mara アデル・マーラ（コンウェイと結婚するアリスン役）、
Julie Bishop ジュリー・ビショップ（ホノルルのメアリー役）、
James Brown ジェームズ・ブラウン（チャーリー役）、
Arthur Franz アーサー・フランツ （ボブ・ダン伍長、ナレーター役）、
Wally Cassell ウォーリー・カッセル（ベニー・ラガッジ役）、
Richard Webb リチャード・ウェッブ（タラワ島で撃たれる「ハンサム」ダン・シプリー役）、
Richard Jaeckel リチャード・ジャッケル（フランク・フリン役）、
John McGuire ジョン・マクガイア（指揮官ジョイス大尉役）、
James Holden（ソームズ役）、
William Murphy（エディ・フリン役）、
Peter Coe（タラワ島で刺されるヘレノポリス役）、
Gil Herman（タラワ島で撃たれる小隊長ベーカー中尉役）、
Hal Baylor（チョインスキー役）
【製作】アメリカ
【上映時間】１時間４９分
【原題】SANDS OF IWO JIMA
１９４９年作品
