炭鉱の町のモーガン一家を中心に描いた物語です。途中、炭鉱ストライキと労働組合の話が出てきたりして、社会的な内容なのかな、とも思いましたが、どうやらそうでもなく、メインは家族を描いたものになっているようです。
今では珍しくなってしまった、家族、親子の絆、男臭さが描かれています。そこに懐かしさを感じてしまいます。ただ、メインの流れに対して、脇のエピソードも多く、焦点がぴったり合っていなく、またその分、映画が長くなってしまっているのが残念に思いました。
ちょうど第２次世界大戦の頃で、当初、舞台となるサウス・ウェールズでのロケを予定していたそうですが、変更になり、アメリカ合衆国カリフォルニア州南部のサン・フェルナンド渓谷にセットを作って撮影したそうです。監督がウィリアム・ワイラーからジョン・フォードに代わったり、脚本担当も代わったり、また、妊娠中のアンナ・リーが撮影で流産したりと、エピソードも多いようです。
１９４１年アカデミー賞の作品賞、監督賞（ジョン・フォード）、助演男優賞（ドナルド・クリスプ）、撮影賞（白黒）（アーサー・Ｃ・ミラー）などを受賞しています。
題名は、美しいです。原題も同様です。ところが、実際の映画はどうでしょうか。そこには炭鉱があり、黒い煙が立ちのぼっています。ボタ山もあります。炭坑では事故がしばしば起こり、失業問題もあります。一方、少し山に入ると、スイセンが咲き乱れています。緑の谷と炭鉱。題名は決して手放しの緑を言っているわけではないようです。炭鉱ができて緑がくすんできたが、愛すべき家族とともに育ったこの谷はやはり緑豊かな谷のようだ、といったところでしょうか。
評価：５３点
【監督】John Ford ジョン・フォード
【脚本】Philip Dunne フィリップ・ダン
【原作】Richard Llewellyn リチャード・ルエリン
【製作】Darryl F. Zanuck ダリル・Ｆ・ザナック
【撮影】Arthur C. Miller アーサー・Ｃ・ミラー
【音楽】Alfred Newman アルフレッド・ニューマン
【出演】
Donald Crisp ドナルド・クリスプ（ヒューの父 Gwilym Morgan ギルム・モーガン役）、
Roddy McDowall ロディ・マクドウォール（Huw Morgan ヒュー・モーガン役）、
Walter Pidgeon ウォルター・ピジョン（Mr. Gruffydd グリュフィド牧師役）、
Maureen O'Hara モーリン・オハラ（ヒューの姉 Angharad Morgan アンハード・モーガン役）、
Barry Fitzgerald バリー・フィッツジェラルド（Cyfartha役）、
Sara Allgood サラ・オールグッド（ヒューの母 Beth Morgan役）、
John Loder ジョン・ローダー（ヒューの兄 Ianto Morgan イアント・モーガン役）、
Anna Lee アンナ・リー（隣の谷からイヴォールの嫁に来た Bronwyn ブロン役）、
Mae Marsh メエ・マーシュ、
Ann E. Todd アン・Ｅ・トッド（Ceinwen役）
Patric Knowles（ヒューの兄 Ivor Morgan イヴォール・モーガン役）、
Richard Fraser（ヒューの兄 Davy Morgan デビー・モーガン役）、
James Monks（Owen Morgan オーエン・モーガン役）
【製作国】アメリカ
【上映時間】１時間５８分
【原題】HOW GREEN WAS MY VALLEY
１９４１年作品
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