もりはみている 「幼児絵本シリーズ」となっています。幼児向けの絵本という位置づけですが、全ページ、カラー写真です。そして、１〜２行の文章が平仮名で書かれています。登場するのは、アカリス、ゴジュウカラ、熊、トナカイ、ふくろうなどです。写真集と言っても通じるような写真です。24ページとページ数が少ないのと、平仮名の文字が載っているので、幼児向けとわかりますが、パッと見では、気づかないかもしれません。子供に見せることに対してもとても好感が持てます。
ただ、子供の反応は微妙です。５歳になったばかりの子供に見せましたが、あまり反応がよかったとは思えませんでした。最初の反応はまずまずでした。最初の見開きで森に誰かがいて隠れている、というような感じで興味を持ち、次の見開きでその動物がわかります。一通り見終わった後、興味を持ったものに対しては「もう１回」と催促してきますが、今回はそれがありませんでした。
子供にとっては、写真より絵の方が反応がいいのだろうということと、動物園で馴染みのライオンやトラなどの動物なら、興味津々となるところですが、子供にとっては、あまりインパクトのある動物では無いようです。それに、「２才〜４才むき」とあります。もう少し上の年齢を対象にした方がいいのではないかと思いました。もっとも子供に寄るでしょうし、反応が良くないからといっても、決して向いていないとは言い切れません。何かを感じ取ってくれれば、それで十分でしょう。大人から見れば（少なくとも私から見れば）、くまのプーさんやミッキーマウスなどより、写真で見るリアルなクマやネズミの方がいいだろう、と思ってしまうのですが、子供目線では決してそうではないでしょう。押し付けはよくないとは思いますが、こういう本を見せておくのは決して悪いことではないと思います。もちろん、実際に森へ行って、実物を見ることの方がさらにいい経験なのでしょうが、なかなかクマに出会うこともないでしょうから、そこはバランスでしょうね。
それにしても絵本というのは、ページ数が少ないし、文字数も少ないのに、価格はそれなりに高いです。本書は、税込み990円です。
写真と文を書いている大竹英洋氏は、1975年生まれで、北米の湖水地方「ノースウッズ」をフィールドに活動している写真家とのことです。
【文・写真】大竹 英洋 （おおたけ ひでひろ）
【発行所】福音館書店
【発行日】2021年9月30日 福音館の幼児絵本第１刷発行 （2015年10月1日 こどものとも年少版 発行）
