かもめ食堂 ruokala lokki 小林聡美が主演というだけで、いかにも面白そうで、名古屋の名演小劇場で観てきました。ゴールデンウィークということもあるかもしれませんが、１００席強の座席は満席でした。１日３回上映の２回目を観にいきましたが、約５０分前に整理券をもらいに行ったにも関わらず既に３０人以上が前にいました。
共演は片桐はいりともたいまさこという個性的な二人ですが、それでも小林聡美カラーが全く失われることがない映画だったのが良かったです。そしてとてもリラックスして観られる雰囲気もありました。
女性一人が食堂を開業し、客が来なくてもあせらず、金儲けなんて考えていないようで、かといって遊んでいるわけではなく、力まず自然体で、しかししっかりと生活している。その落ち着き方とフィンランドの落ち着いた雰囲気がマッチしているからか、余計に穏やかに感じるのかもしれません。監督の荻上直子も、フィンランドでの撮影の最初の頃はあせっていたけど、現地スタッフののんびりペースを受け入れざるを得ず、それが映画の雰囲気にも繋がって良かったと、2011年1月にＮＨＫテレビで放映された『トップランナー』という番組で語っていました。ただ、「癒し系」映画との評価に対しては、そんなつもりでは作っていなかったとのことでした。
食堂が舞台だけあって、コーヒーを入れるシーン、シナモンロールを作るシーン、おにぎりを握るシーンなど、どれもおいしそうで印象的でした。
エンディングテーマの「クレイジーラブ」は、井上陽水が作詞・作曲そして歌っていますが、以前に山口百恵が歌っていたので馴染みのある曲です。
舞台はなぜかフィンランド。そしてロケも全てフィンランド。そのフィンランドのヘルシンキで食堂を開店するサチエ（小林聡美）。メインメニューはおにぎり。しかし最初、客は来ない。１ヶ月経ってようやく日本かぶれのフィンランド青年がコーヒーを飲みに来た。その後、日本から来たという女性ミドリ（片桐はいり）と知り合います。そして次に一人マサコ（もたいまさこ）という女性がやってきます。
マサコが、「フィンランド人はどうしてゆったりしているの？」というようなことを口にすると、フィンランド青年が「森があるから」と答える。そして突然森のシーンになり、きのこ狩りをしているマサコ。ここだけが緑色を基調としたシーンでした。
監督の荻上直子は、千葉大学工学部卒業後、南カリフォルニア大学大学院映画学科に入学し、ハリウッド式の映画制作を学んでいます。そんな経験から、海外での仕事が自然にできるのかもしれません。ただ、ハリウッド映画には違和感を持っていたため、作風はインディーズ系になったとのことです。
評価：７７点
【監督・脚本】荻上直子（おぎがみなおこ）
【原作】群ようこ（むれようこ） 『かもめ食堂』（幻冬舎刊）
【撮影】トゥオモ・ヴィルタネン
【音楽】近藤達郎
【エンディングテーマ】『クレイジーラブ』 作詞・作曲・歌：井上陽水
【フードスタイリスト】飯島奈美
【出演】
小林聡美（サチエ役）、
片桐はいり（ミドリ役）、
もたいまさこ（マサコ役）、
ヤルッコ・ニエミ（トンミ・ヒルトネン青年役）、
タリア・マルクス（リーサ役）、
Markku Peltola マルック・ペルトラ（中年男マッティ役）
【撮影協力】ヘルシンキ市
【後援】フィンランド政府観光局（ＭＥＫ）
【協力】フィンランド航空、フィンランド大使館、ヘルシンキ市観光局、accome Hotel Apartment
【製作】日本テレビ、バップ、幻冬舎、シャシャ・コーポレイション、パラダイス・カフェ、メディア・スーツ
【配給】メディア・スーツ
【上映時間】１時間４２分
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