では、なぜいい山なのに、あまりガイドブックに載らなかったり、訪れる人が少ないのか。それは、例えば、名古屋などの都市からの車などでのアプローチに時間がかかる山であったり、すぐ隣にメジャーな山があり、その陰に隠れて目立たないとか、そんな理由なのだろうと思われます。中には藪っぽい山もありますが、決して「藪山」が紹介されているわけではありません。単なる藪山なら名山にはなり得ませんでしょうし。
例えば、鈴鹿では、鞍掛峠まで行く人はほとんどが御池岳に向かってしまうような三国岳とか、御池岳と藤原岳に挟まれて通過する人も少なそうな冷川岳とか、1000ｍに満たない三池岳とか、前衛の尾高山や狗留孫岳も紹介されています。
愛知県では、愛知県民の森。ここは岩尾根が多いのですが、山頂をめざすのではないため、あまり登山者の目に止まらないようなところと言えるのかもしれません。日本ケ塚山は奥三河の最奥部にあたり、都市からのアプローチに時間がかかります。
美濃では高賀三山の一つである今淵ケ岳が紹介されていますが、他の二つの高賀三山である高賀山や瓢ケ岳に比べて訪れる人が少ない山と言えるでしょう。
中には伊吹北尾根のように、出版当時はまだ伊吹山に隠れてマイナーだったと思われるコースが、今ではすっかり人気になってしまった場所もあります。
執筆者は「名古屋歩く会」という女性だけの会の３３名です。こんなマイナーな山に女性だけでこれだけ行っているというのはなかなか珍しいのではないかと思います。
紹介されている山は以下の通り。
愛知県
愛知県民の森（東尾根コース・西尾根コース）、日本ケ塚山
静岡県
矢岳山、常光寺山、奈良代山
長野県
霧訪山、鉢盛山（岳沢コース・波田町コース）、城山、木曽見台、風越山（上松）、風越山（飯田）
岐阜県
天狗森山、大船山、小秀山、白草山、下呂御前山、御前山、簗谷山、納古山、籾糠山、片知山、今淵ケ岳、天王山（大矢田神社から、御手洗から）、汾陽寺山、古城山、相戸岳、天狗城、大白木山、岩岳、雷倉、小津権現山、小島山、鎗ケ先、さざれ石公園〜伊吹北尾根、笙ケ岳、霧ケ峰
三重県
狗留孫岳、鞍掛峠〜三国岳、冷川岳（コグルミ谷〜山口）、三池岳、尾高山、御所ケ平、臼杵岩〜かもしか高原、羽黒山、旗山〜ゾロ峠、牛草山、獅子ケ岳、烏岳、修験業山〜栗ノ木岳
奈良県
古光山、鎧岳〜兜岳
滋賀県
松尾寺山、高室山、天狗堂、三上山〜妙光寺山磨崖物、安土城跡〜繖山、七尾山、山本山〜賤ケ岳、小谷山、己高山、呉枯ノ峰
福井県
岩籠山、野坂岳、青葉山
【編著者】松井志津子
【発行所】七賢出版
【発行日】平成7年6月16日 第１刷
