ブラザーフッド

　朝鮮戦争で戦う兄弟の愛がテーマになっている。弟を守ろうとする兄と、自分のために犠牲になろうとしている兄を止めようとする弟。ところが意外に泣けなかった。確かに映画館の中では周りから泣き声が聞こえたり、映画のチラシにも「韓国観客動員新記録を樹立！1,300万人が泣いた、感動巨編！」なんて文句も並ぶ。でも私はほとんど涙腺が緩まなかったのである。なぜだろう。朝鮮戦争という設定がそうさせているのだろうか。今の韓国民の北朝鮮に対する気持ちを考えると、ああいう戦争の描き方になってしまうのでしょうか。普通の戦争映画なら、どちらかに感情移入してしまうものだが、この映画ではそれがない。韓国側から描いているので、韓国側に感情移入しても良さそうなのに、それがないのだ。戦闘シーンはふんだんにある。でもそれは戦争の悲惨さだけに焦点が合っているように見える。そんな、微妙な南北関係が頭から離れないから泣けなかったのかもしれない。

　「ペクトゥ山に太極旗をたてる」という目標のもとに北と戦う、というようなセリフが出てくる。ペクトゥ山とは北朝鮮の最高峰2,744mの白頭山であり中国名は長白山。中国との国境にある長白（チャンペク）山脈の山である。太極旗は韓国の国旗のことである。朝鮮半島の民族にとって白頭山はシンボル的な山なのでしょうか。北朝鮮の最北部にある山だから韓国軍がそこを目指すという意味もあるのでしょう。

　ペクトゥ山の名は、韓国映画『私の頭の中の消しゴム』でも出てきます。

評価：６０点

【監督・脚本】カン・ジェギュ
【撮影】ホン・ギョンピョ
【音楽】イ・ドンジュン
【出演】
　チャン・ドンゴン（兄ジンテ役）、
　ウォンビン（弟ジンソク役）、
　イ・ウンジュ（兄の妻ヨンシン役）、
　コン・ヒョンジン（ヨンマン役）、
　チェ・ミンシク（北朝鮮人民軍大佐役）、
　キム・スロ、
　イ・ヨンナン
【製作国】韓国
【上映時間】２時間２８分
２００４年作品
【公式サイト】http://www.brotherhood-movie.jp/

amazon.co.jp↓
　「ブラザーフッド」(DVD)
　「ブラザーフッド」関連書籍
　「ブラザーフッド」（サントラ）

Wander!★映画