最初から最後まで飽きさせないで進む。しかも基本的な設定は警察の取調室や裁判所の法廷の中である。いわゆる法廷物として扱っていいと思うが、それでこれだけ飽きさせないで最初から最後まで集中して観ることができるのは『十二人の怒れる男』は別格としても、珍しいぐらい出来がいいのではないだろうか。
アルツハイマーや骨髄移植の話が出てきて（おまけに樹木希林の片目失明のニュースもあり）、重いイメージがありますが、実際にはそんなことはなく、空白の 二日間に焦点があるため、観客を飽きさせないのでしょう。
しかし、観終わった後で冷静に考えてみると、二日間の空白の時間の意味、「半落ち」の理由としては、いまいち釈然としないもやもやしたものが残ってしまいました。これらは、そんなに大それたものではなく、大騒ぎするほどのものではないのではないか、と思ってしまうのも事実。
吉岡秀隆の裁判官は『阿弥陀堂だより』などの医師より違和感あり。
既婚者の役も似合わない。
良かったのは伊原剛志かな。
監督は『陽はまた昇る』の佐々部清。脚本も担当している。途中飽きさせないのはこの監督作品のいいところか。
一瞬ですが、どこかの町（関東のどこか？）が映ったときに、バックに山並みが映っていました。また、最後に森山直太朗の、”声”という歌と共に映っていたのが、綺麗な紅葉でした。歌も悪くはありませんでした。
ベストセラー小説ですが、直木賞の選考会で「重大な欠陥」を指摘されたことがあります。そもそも「受刑者は骨髄移植のドナーになることができない」とのことで、主人公の骨髄移植の願いは、現実には不可能である、ということです。2003年3月19日の朝日新聞の記事になっていました。
評価：８６点
【監督】佐々部清
【原作】横山秀夫 『半落ち』（講談社刊）
【脚本】田部俊行、佐々部清
【撮影】長沼六男
【音楽】寺嶋民哉
【主題歌】森山直太朗 『声』
【出演】
寺尾聰（元刑事 梶聡一郎役）、
柴田恭兵（刑事 志木和正役）、
伊原剛志（検事 佐瀬銛男役）、
鶴田真由（東洋新聞支局記者 中尾洋子役）、
國村隼（弁護士 植村学役）、
原田美枝子（聡一郎の妻 梶啓子役）、
吉岡秀隆（地方裁判所判事 藤林圭吾役）、
高島礼子（学の妻 植村亜紀子役）、
奈良岡朋子（医師 高木ひさ江役）、
樹木希林（梶啓子の姉 島村康子役）、
嶋田久作（県警本部長 加賀美康博役）、
斉藤洋介（県警警務部長 笹岡役）、
中村育二、
豊原功補、
西田敏行（地検検事正 小国鼎役）、
本田博太郎（裁判長役）、
田山涼成（地検検察事務官 鈴木孝夫役）、
奥貫薫（藤林の妻 藤林澄子役）、
高橋一生、
田辺誠一（洋子の上司役）、
石橋蓮司（県警刑事部長 岩村肇役）、
井川比佐志（元裁判官で圭吾の父 藤林圭一役）
【製作国】日本
【上映時間】２時間１分
２００３年作品