見ていてはらはらさせられるだけでなく、意外な展開にも驚かされます。ミュージカルでもあり、２時間超の大作でもある。今まで見たことのないようなストーリーで、新鮮かつ衝撃的。こんな映画の監督・脚本を担当したラース・フォン・トリアーと、主演のビョークを特に称えたいと思います。
基本的には暗い映画で、決してハッピーエンドでもありませんが、見ているうちに引き込まれてしまうのは、それだけ魅力があるということだと思います。
画面が揺れて安定しないのは、主人公セルマの視覚障害を表現しているのか、最初気になりましたが、その後はあまり気にならないばかりか、効果的でさえあったのかもしれません。
ミュージカルの練習シーンで、「すべての山に登れ」という歌が出てきます。歌詞は「あらゆる川を越えて」と続きます。
2000年カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、女優賞の受賞をはじめ、ヨーロッパ映画賞での作品賞、女優賞受賞、日本アカデミー賞での外国作品賞受賞などがありますが、アメリカのアカデミー賞では、歌曲賞にノミネートされたのみ。この映画が一種のアメリカ批判と映るのか、アメリカ人好みのストーリーでなかっただけなのか。
幸せな人はより幸せに、不幸な人はより不幸に、そんなアメリカ社会への批判がこの映画の中にあるのかもしれません。ただ主人公セルマは、そんな中でもしっかりとした目的を持って強く生きていました。
評価：７７点
【監督・脚本】Lars von Trier ラース・フォン・トリアー
【撮影】Robby Muller ロビー・ミューラー
【音楽】Bjork ビョーク
【出演】
Bjork ビョーク（セルマ・イェスコヴァ役）、
Catherine Deneuve カトリーヌ・ドヌーヴ（キャシー役）、
David Morse デヴィッド・モース（警察官 ビル役）、
Peter Stormare ピーター・ストーメア（ジェフ役）、
Jean-Marc Barr ジャン＝マルク・バール（ノーマン役）、
Vladica Kostic ヴラディカ・コスティック（セルマの息子 ジーン役）、
Cara Seymour カーラ・セイモア（ビルの妻 リンダ役）、
Vincent Paterson ヴィンセント・パターソン（サミュエル役）、
Joel Grey ジョエル・グレイ（オールドリッチ・ノーヴィ役）、
Zeljko Ivanek ジェリコ・イヴァネク（地方検事役）、
Siobhan Fallon シオバン・ファロン（ブレンダ役）、
Udo Kier ウド・キア（ポーコルニー医師役）、
Stellan Skarsgard ステラン・スカルスガルド（医師役）
【製作国】デンマーク
【上映時間】２時間２０分
【原題】DANCER IN THE DARK
２０００年作品
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