青い山脈 題名は「青い山脈」ですが、内容は全然山とは関係ありません。
舞台は山間の城下町。「貞淑女子高等学校」で起こった贋ラブレター事件を発端に古い体制的な思想と新しい個人主義的思想とがぶつかり合います。
１９６３年の公開当時にはまだ新鮮な内容だったのでしょうか、それとも単なる吉永小百合人気だったのか、正確なところは知りませんが、少なくとも今観ると、中途半端に青春映画であり、恋愛映画であり、思想映画でもあるようで、それらが渾然一体となっていると言った方がいいのかもしれませんが、それほどの新鮮さ、衝撃もありません。吉永小百合の魅力という意味でも、まだ若過ぎるのか、そんなに強い印象は残りませんでした。やはり、当時観るべき映画だったのでしょうか。でもこの１９６３年版もリメイクであり、さらに遡る１９４９年に映画化されています。この年ならまさしく戦後の復興で、内容はどこまで違うのかわかりませんが、新鮮さはかなりあったのかもしれません。
そうは言うものの、決して退屈な映画ではありません。コメディ調なのも当時の青春映画の特徴でしょうか。豪華キャストの若い頃を観るだけでも価値があると思います。
主題歌はＮＨＫの紅白のラストで定番だったこともあり、かなり有名です。歌の内容も明るく、戦後および高度成長への新しい時代の到来を感じさせたのでしょうか。映画では神戸一郎・青山和子の二人が歌っていますが、藤山一郎・奈良光枝のデュエットの方が有名でしょう。
「アインス・ツバーイ・ドライ」で大学のラグビー部員が軍歌調の寮歌を歌うシーンがありましたが、私のワンゲル時代に歌った山の歌を思い出しました。
評価：６９点
【監督】西河克己
【脚本】井手俊郎、西河克己
【原作】石坂洋次郎（新潮文庫版）
【撮影】萩原憲治
【音楽】池田正義
【主題歌】「青い山脈」 作詞：西條八十、作曲：服部良一、唄：神戸一郎・青山和子
【助監督】白鳥信一
【出演】
吉永小百合（女子高校３年生 寺沢新子役）、
芦川いづみ（英語教師 島崎雪子役）、
浜田光夫（金谷商店の浪人 金谷六助役）、
二谷英明（校医 沼田玉雄役）、
進千賀子（冒頭自転車で転ぶ眼鏡の高校生 松山浅子役）、
高橋英樹（ラグビーをやっている大学２年生 富永安吉（ガンちゃん）役）、
南田洋子（笹井和子の姉で芸妓の梅太郎（笹井とら）役）、
藤村有弘（体操教師 田中役）、
三島雅夫（ＰＴＡ会長 井口甚蔵（赤牛）役）、
田代みどり（女子高校生（自称島崎先生のスパイ） 笹井和子役）、
井上昭文（国漢教師 岡本役）、
北林谷栄（家庭科教師 白木役）、
下元勉（武田校長役）、
織田政雄（八代教頭役）、
清水将夫（元裁判官の新子の父 寺沢修蔵役）、
近藤宏（チョビひげの男役）、
山田禅二（浅子の父 松山浅右衛門役）、
高橋とよ（宝屋のお内儀役）、
左ト全（ＰＴＡ役員会で発言する老人）、
中村是好、
新井麗子（音楽教師 小野役）、
松尾嘉代（芸妓 駒子役）、
神山勝（数学教師 中尾役）、
紀原土耕（雇人 吉さん役）、
衣笠真寿男（赤牛の配下役）、
長弘（赤牛の配下役）、
高島稔（大学生 吉村役）、
水森久美子（高校生役）、
加藤洋美（高校生役）、
辻野房子（高校生役）、
鈴木光子（高校生役）、
熱海弘到（大学生役）、
安西拓人（大学生役）、
小沢茂美（新子の弟 寺沢英一役）、
殿山泰司（柳屋の主人役）、
浜村純（長森老人役）
【製作】日活
【上映時間】１時間３６分
１９６３年作品
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